山道を歩く -太郎3歳の夏-
実家はポツンと一軒家。
ありがたいことに、裏には程よい山道がある。
木の伐採のためにちょうど重機が入ったばかりで歩きやすい。
どこまでいけるかな。
さあ冒険だ。
びびりな太郎、台風の影響でいつもより大きな木々のざわめきにおののく。
「なんかおやまがこわいかんじ、するんだけどー」
うんうん、その感覚とても良いね。
自然の巨大な力に畏怖を感じるのは生き物として健全だ。
台風前ですもの、ソワソワしますよ。
我々がやってくると、ちいさな生き物たちがぴょんぴょん、カサカサ脇に飛び退く。
トカゲの赤ちゃんにバッタ、
カエル、
ちょうちょ。
待ってよー
姿を見せてーと藪を覗き込む。
次は会えるかなと期待しながらだと歩みもすすむ。
おっと急斜面。
「すべりそう、、」と怯む太郎。
大丈夫だよ、かかが見せてあげるよと先立って坂道をのぼる。
後ろの人、おずおずとついてくる。
と、
「えーーーん」
どんまい。
そういうこともあるさ。
帰り道はカマキリを観察。
爺と婆へのおみやげにマツボックリを手に入れて。
次はもう少し先まで行けるといいね。