大槌町地域おこし協力隊 2022年10月の報告(佐藤)
日中は長袖あるいは半袖のシャツでもいられますが、朝晩はダウンが欲しくなります。16時ごろから太陽の落ちるスピードは一気に加速し、17時には多くの車がヘッドライトをつけるようになりました。
吹く風は少し冷たく、山の緑の色もなんとなく褪せてきたように見えます。いよいよ東北は冬支度、といったところでしょうか。
今月も多くの研修を受けてきました。では報告いたします。
1、 ツリークライミング研修
2日は釜石にて、23日は陸前高田にて、「ツリークライミングクラブ やまねっこ」さんの体験会にお手伝いとして携わり、研修させていただきました。どんなに自分がツリークライミングできても、ほかの人を登らせることができなくては普及にはつながりません。自分もいずれインストラクターになりたいと考えているので、そのためにたくさん場数を踏みたく、2回お邪魔させていただきました。
先月からやまねっこの森さんにお世話になり、何度かリーダーとして全体説明をさせていただき、回し方に少しずつ慣れてきて徐々に自分なりの手法が見つかってきました。安全と楽しさ、この二つを全うするためには何が必要か、これからもいろいろ考えて探っていきたいと思います。
同時に東北のツリークライミング仲間も増えました。
2、アーボリスト©トレーニング
11日から14日まで、川崎市黒川青少年野外活動センターにてATI(Arborist Training Institute)によるBAT-3A、および3Bの研修を受けてきました。ここではいよいよ高所にて切り落とした太い枝を周りにダメージを与えないように下ろす作業や、スパイクを使って針葉樹に昇り、自分が取りついている樹の幹を上から徐々に切り落とす作業、などを学びました。
これまで習ったチェーンソーワークや伐倒技術、ロープワークの技術は当然100%できるという前提で、さらに進歩したテクニックを教わり、かなり緊張した時間をすごしました。こんなにヒリヒリするような研修は久しぶりでした。(学生時代に受けた、オーストラリアのライフセービングライセンス講習「ブロンズメダリオン」以来でした。)
天気は残念ながらずっと雨でしたが、そんなコンディション下でも講習は淡々と進んでいき、最終日のスパイクワークのトレーニングではただひたすら反復練習を行うのですが、恐怖と寒さでいいオヤジが泣きそうになりました。修了したときの達成感は格別でした。
また、この会場になった川崎市黒川青少年野外活動センターは実は私が以前働いていたところで、そこの所長やスタッフの方と十数年ぶりに再会を果たすことができました。今後また、イベントの手伝いなどでお邪魔しようかと思っています。
3、藻場再生事業
先月学んだダイビングのスキルを用いて、21日、大槌の海の再生事業活動に参加しました。今回は吉里吉里漁港から船を出し、野島の周辺の増えすぎたウニを少し駆除しました。「え?もったいない」と思われるかもしれませんが、繁殖しすぎたウニは海の海藻類を食べつくしてしまって、ウニ自身の餌がなくなるほど海底を砂漠化してしまっています。もちろん他の生き物も棲みづらくなります。陸上のシカと同じですね。頭数制限しなくてはならないほど繁殖しています。
今回のポイントもちょっと潜っただけでうじゃうじゃとキタムラサキウニが。まるで足の踏み場もないくらい。ゴムハンマーで一つ一つ潰していきます。割れたウニの中身はスッカスカ。もちろん、季節的なものもあるのですが、やはり全体的にウニの身は瘦せています。餌がない証拠です。
割れたウニの身をベラやアイナメなどの根魚が食べに寄ってきます。7~8mの底の人工海嘯にはバカでかいアイナメが棲んでいて、私のハンマーの近くまで寄ってきて、割ったそばからウニの中身をむさぼっていました。5~6匹いました。「釣りてぇ~!いや、タモで一網打尽にしてぇ~!」と思いましたが今回は仕事に専念しました。
今回のポイントは、すでに手を付けてから数年経っているようで、少しずつ生物や海藻が戻りつつあるようです。が、まだまだ先は長そうです。
4、JAC樹護士アーボリスト©チャレンジ2022 in 横浜
横浜市は本牧市民公園にて、29日30日の二日間に渡って上記の大会が行われました。アーボリスト達が日頃培ってきた技術を披露し、スピードや正確性、チームワークで勝負する大会です。参加者、スタッフ、関係者合わせて4~500人くらいいたでしょうか。かなり大規模な大会でした。会場は一般の方も往来する公園ですから、ギャラリーも膨らみました。
私はその大会に合わせて開かれたツリークライミングの体験ブースにて、これまた研修としてスタッフで参加しました。二日間とも3回ずつ、計6回の体験会が開かれました。早朝から準備して、昼食の時は腰を下ろすけどそれ以外は常に立ちっぱなしのハードなものでした。が、すべての回で子どもたちが、お父さんお母さんたちが、明るい笑顔で登って帰られるのを見ると疲れを忘れました。大変やりがいがありました。
二日目には、私はチャレンジャー(障害のある)のお子さんを担当させていただきました。元来、私は学校教員の頃に特別支援級をもっていた時期もあるので、そういったお子さんはどうしたらコミュニケーションがとれるか、どうしたら登らせてあげられるか、考えるより先に体が自然と動きました。そしてお父さんと一緒に樹上で写真を撮ることができました。地上から見守っていたお母さんは目に涙を浮かべていました。
私はツリークライミングを17年ほど前に始め、その後学校に務めている間は全くできませんでした。今年、大槌の地域おこし協力隊に行くことでまた再開し、学び直すことでその世界の深さをさらに感じています。今回私は、チャレンジャーのお子さんと一緒に登ることで、ツリークライミングの意義について再確認し、やりがいを強く感じました。いろいろな出会いが今の私を作り、これからの私に道を示してくれる。そう思わずにはいられません。
終わった後に創始者のジョン=ギャスライトさんと奥さんのヒロコさんのところに挨拶に行ったら、17年前の私のことを覚えていてくださいました。感動しました。
5、最後に
この10月をもって、私佐藤俊彦は大槌町地域おこし協力隊を去ることとなりました。4月からの様々な状況変化を鑑みた結果、横浜の家族の元に戻り一緒に暮らすことにしました。
この半年いろいろな方、いろいろなモノに出会い、いろいろなことに気付きました。それらすべてがこれまでの自分を肯定してくれて、新しく自分の血肉となり、これからの自分の選択肢を示してくれました。一年ももたずして去ることは皆さんに申し訳なく思います。何もお返しをすることはできませんが、感謝の気持ちだけは忘れずにこの先も生きていきたいと思います。最後の挨拶に回った際、皆さん一様に快く送り出してくれたのだから。
今まで、本当にありがとうございました。
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