村田沙耶香『コンビニ人間』-感想
芥川賞受賞作の村田沙耶香『コンビニ人間』を読んだ。
「普通の人」とは社会の求める人であり、人は勝手な解釈により他者を吟味し、評価を下す。普通でない人は自分が普通だと思っている人にどこまでも土足で踏み込む。これは他者を自分の力によって矯正することで得られる快感に酷く酔ってしまっているからなのと、己が社会適合者であると自己肯定したいからだ。
世の中の社会不適合者は正気で狂気を演じているのではなく、正気をもって社会と向き合っているから社会不適合者であり、世間が求める普通は「正気」ではなく、自身を抑制して社会に飼い慣らされた「協調と同調」を強いられた社会動物でしかないのではないのだろうか。今一度「普通」と他者が与える個人への影響を考えさせられる作品であった。