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厚生労働省も、施策についての決定の経緯や事実関係をもうちょっとちゃんと説明すべきだよな(追記あり)

※ おことわり 本稿は、ほぼ同じ内容を私のメルマガ『人間迷路』で配信しています。メルマガご購読者の皆さまに於かれましては本稿は配信する記事と同じものですので、お布施でもない限り、間違って買わないようお願いします。

https://yakan-hiko.com/kirik.html

追記:頂戴した疑問に対して「現状はこうだ」という姑息な回答をするよ(28日13:43)

 本稿をnoteで公開し、私の有料メルマガ『人間迷路』で配信すると発表したところ、関係先だけでなく別のところからもご反響をいただきました。ありがとうございます。

 特に多かったのは施策を検討する上での妥当性に関するもので、要するに「EBPMとかそれらしい効果を目指す政策を建議するのなら、ちゃんと重回帰やったり因果推論して、政策の方向性と効果を目指すべきなんじゃないの」という話です。

 当たり前ですよね。私もそう思いますから。

 しかしそうはならない理由は、もっぱら次の二つです。

  • 本当にEBPMやると制度そのものが要らなくなる、施策自体が不適切になることがある(KPIそのものが不適切問題)

  • 政治的・文化的な配慮ほかで、もともと恣意的に立案されている政策がある(KPIを立てられない問題)

 前者は、アウトカムを設定することよりも制度全体を維持・継続するための弥縫策であるケースで、特に「日本の皆保険制度を守るのだ」とか「地方の高齢者が医者にかかれなくて死んじゃうから医師の偏在をどうにかするのだ」というような場合に、いままではこうだったから次はちょっと調整してこうしますわってとき着地させる目標と計測するアウトカムが無かったりします。

 医療経済学として「こういう医療提供体制にすればこういう国民の健康管理や公衆衛生を実現できるのだ」というのは計量である程度出せますし、実際そういう試算は財務省も厚生労働省もたくさんやっており、また、出入りしているシンクタンクや有識者も会議体などでのご建議やヒヤリング、意見出しではご主張の背景として承ることは多くあろうかと思います。

 他方で、中医協が出てきたり財政審にて「この地域の住民に医師を貼り付けてもアウトカム悪いのは分かってるから救命コストに見合わないのでやめちまえ」みたいな話をしたら、それはそれで問題になります。最適な例は能登地震での1兆円近い復興費用とか、まだクソ赤字で同脱却させるのかすらよく分からない日の丸半導体への博打的な予算執行とか、離島での医療提供を実現するためのドクターヘリとか、EBPM的な観点からすれば「根拠がはっきりしないしアウトカムも捗々しくないのなら、やめちまえ」という話になります。当たり前ですね。

 ただ、そういう国の政策にしていくんだという政見があり、それをご建議となり審議の結果「やろう」となって、法律ができ予算がついて執行するんだぞとなったものを、いま見えているEBPMで「ラピダスとかマジ超赤字だしやめろや」ってのが適切な議論かってのはあるわけです。これは、なぜか悪玉にされる財務省とか、仕事ができないと揶揄される厚生労働省とかの問題ですらなく、私たちが選んだ議員と国会で国民の意志として「そういう方向で予算をつけてやるんだ」となったら「やる」ように審議したり政策調査していくしかないのです。

 また、後者に関しては、どうしてもコンテクストが大事になります。

 EBPMとかアウトカムとか因果推論とか言われている以前からあった制度で、その制度には導入された(当時の)正当な根拠があり、実際にいまもその制度が運用されていて、受益者がいて関係者がいてそれで経済が回っているものを、政策の観点からいきなり「やめまーす」というのはどうなのよってのはあります。

 例えば、テレビ局地上波の47都道府県免許制なんて、このインターネッツ時代に山間部に鉄塔立てて難視聴地域にはケーブルテレビに補助金付けて国民の知る権利を確保させますってことで頑張ってきています。もう人口も減少して観なくなったんだからNHKに鉄塔管理させAMラジオほか最低限の機能だけ用意すればいいじゃんってのがEBPM的最適解になっていくのでしょうが、その鉄塔を資産とし、担保にして地域金融機関からカネを借りて経営している地方財界からすれば、地域創生と言いながらなぜ地方経済をダメにするような施策をするのかと怒られます。これこそお前らの既得権益だから国民全体の利益を考えて放送法改正してNHKの必須業務ちゃんと再定義してネットにもラジオにも地上波にも、また災害時にもどこにいても国民に情報がいきわたるような知る権利を確保しろってなるはずが、実際には公共放送WGではそれっぽいことを主張した宍戸常寿が前と後ろから殴られて鼻血を噴き出し意識不明になり担ぎ出される事態となるわけです。EBPMで突破なんてできるはずないじゃないですか、こんなんで。

 本件「薬価を全体的に引き下げんぞ」って話もその典型です。クソ怒られながらも何でやるかと言えば、欧州とかでは薬価政策が従前より引き下げられまくっていてジェネリック医薬品が流通しなくなるぐらいの状況になり、世界的に製薬メーカーの再編が広がっていることが背景にあります。日本もそれに追随する形で薬価引き下げを始めていますが、海外大手ジェネリックが日本撤退したり、アメリカ製薬会社協会が失望のコメント並べたりしてますが、基本的にはアメリカでも欧州でも薬価の公定価格引き下げで健康保険分野の関連予算を削減していこうという流れにあることは理解しておかなければなりません。

 これに加えて、円安によって輸入に頼っている薬原液の調達に苦労したり、薄利すぎて国内ゾロ新メーカーが儲からない薬を出したがらないという背景があるわけですが、これも一度保険収載に乗った薬は原則としてのその製薬メーカーに旗を降ろすまで提供義務があることが背景になります。

 日本で薬が届かなくなっちゃったことと、薬価引き下げの影響とは実は違うんですが、ただ、いまの医療現場からすれば薬が届かないことはやはり問題なので、遅ればせながらいまからでもなんかできないかと政策提案を作りご建議はしています。通るかどうかは知りませんが俺だって頑張っているんだ。

 そういうそもそも構造が合理的ではないが公共性を鑑みて制度が作られ、その後状況の変化ごとに少しずつパッチワークしていった結果、もはや全体の構造が誰も分からないぐらいでかい制度になってしまった医療提供体制・薬価制度を、詰み上がったジェンガを抜くごとく「これ以上、国民の社会保険料負担を増やさないようにしたい」と財務省が財政審で切り出し、とにかく全体の医療費(薬価を含む)を増やさないようにしますという話になります。当然、老人が増える、貧乏人がいる、地域を支える診療科を抱える医療機関が採算を合わせられず潰れていくのは、もうこれ以上、現役世代が増える全体の医療負担を支えきれないことは明確だからです。

 いわば、国民の社会保険料負担を含め、国民負担が上がらないように努力しているのは財務省なのに、社会保険料を下げろと騒いでいる国民がなぜかザイム真理教などと中傷して力の限り財務省を叩いているという喜劇が発生するわけです。

 もっと言えば、アメリカの製薬会社が何か声明出して騒いでましたが、一理あるのは当然としても、そもそも論で言えばアメリカでトランプ政権が爆誕し、本当に厚生長官に反ワクチン・反製薬業界を旗頭にするロバート・ケネディ・Jr.さんが就任されたらアメリカであなたがた本当に仕事が続けられるんですかってのは素朴な疑問として思います。もちろん、政策議論の端っこにいる者として、アメリカ資本の製薬会社の言い分のもっともなところは何とかしてあげたい気持ちはありますが。

 この辺のことは、本来であれば、石破茂政権や、厚生労働省がきちんと政府広報として国民に届く形で説明したり、ガセネタに対しては反論したり、悪質な中傷に関しては発信内容の停止や訴訟も辞さず対応することが相応しいとは思います。

 なんかこう、言わなくても正しいことを言っていればいずれ分かってくれるだろう、という日本的な美学を菅義偉さん岸田文雄さん石破茂さんは持ちすぎていて、明後日の方向から批判された内容に反論すらせず殴られ放題になっているのは問題なんじゃないかなあといつも感じるわけですよ。男の子としては非常に尊敬するのですが。

本編

 怒られておるわけです。まあ、そりゃそうですね

このポストが正しいものかどうかは、この「馬。」さんがどの製薬メーカーにお勤めかによる。そう批判する資格のあるメーカーか、こちらからすれば「潰れて、どうぞ」と思うメーカーかで関係先の受け取り方は雲泥の差

 話の一部は皆様のNHK記事を読んでください。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241220/k10014673491000.html%0A

 で、肝になっているのは「一律の下げ」という表現です。いま、3,400品目近い医薬品が届かなくて割と大変なことになってるので、流石にこんな状態を3年近く続けていたら困ることになるからどうにかしようというご建議をいっぱいしてますがなかなか進まない現状があります。

 先日、俺たちの財務大臣加藤勝信さんと厚生労働大臣の福岡資麿さんがようやく面談に漕ぎ着け打開策らしきものを精査しようとなったんですが、おそらく現場で臨床を頑張っておられる医師の皆さんや薬剤師さんたちは「おせーよ」「何してんだよ」とお感じかとは思うんですけれども、制度的な問題で詰まっているものをどうにかするのはかなり大変で、死ぬほど大変な作業を進めないといけません。

 簡単に言えば、以前はその道の専門家と政策担当者が15人ぐらいで精査すれば話は動かせたんです。全員が、制度全体や事情を知って、政策を吟味することができていたんです。

 ところが、問題が複雑になり検討すべき資料が単純計算で20年前の約50倍になっているものを、たかだか社会保障制度を15年やった程度の人では「そういえば、この制度はどういう目的で制定されたんだっけ」ってのがキャッチアップできず、2年ないし3年ごとにご担当が変わり、予算も単年度であるいまの組織のあり方ではなかなか対応できんのです。

 よく「生成AI使えば解決するんだから紙でやるな」とか言われるんですが、ぶっちゃけAI対応なんて当然やってます。私もプライベートクラウド立ててLLM組んで大量の資料をブチ込んで対応はしています。

 で、役所も偉い人も政党からもおカネはでないので「自腹を切って」「個人的に」生成AIやってますが、累計で4,500万円ぐらい使ったでしょうか。最近では紙の書類をデータ化してLLMに喰わせる作業をやるためだけに人を雇っています。本当は、所属である情報法制研究所や元請けの大手シンクタンク予算で、使い物にならないコンサル会社のカカシみたいな若者に高い時給を払って議事録だけまとめてもらうような仕事に何億も使うぐらいなら情報整理や精査のための実行予算をつけてほしいと思いますが、役所からおカネが出ることはないのです。これができるのは、私がまあまあお金持ちだから趣味と実益を兼ねて使えるおカネがあるからという理由に尽きます。

 また、役所でも法改正や制度変更による影響先チェックとかでAIはもちろん使っております。ただ、やっぱりなんだかんだ漏れがあるし、一度ハルシネーションが起き始めると雪だるま的にガセネタをアウトプットしてくるので、最後はちゃんと全部人間がドモホルンリンクルが落ちてくる一滴一滴を見つめるぐらいの勢いで人力対処をせざるを得ません。

 何が言いたいかというと、いろいろなご批判があるのは承知の上で、やれることはできる範囲で全部やってるけど進まないぐらい制度が大きくなっていて調整に時間がかかるんだよってことです。

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神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント