【告知】情報法を基に、個人と企業、霞が関(赤坂見附&溜池山王)、永田町とアカデミアを繋ぐ活動を始めたよ
今日10月22日に、私の所属する情報法制研究所でプライバシーフリーク・カフェ(PFC)のイベントをやる予定なんですが、想定以上のご反響を頂戴していて、なんともありがたい限りでございます。
これ、何なのかというと、足掛け10年やってきたプライバシーフリーク、鈴木正朝(新潟大学教授)と高木浩光(日記執筆者)、板倉陽一郎(グラビア評論家)に私・山本一郎(モヒカン拡声器)でやってきて、正直「個人情報というものが何なのか整理されれば、この問題は解決するんじゃないか」と思って、情報と社会と行政と個人の間の整理をずっとやってきたものなんです。
ところがですな、2000個問題は解決に向かっても、気がついてみたらデータサイエンティスト赤ずきんちゃんは炎上し、教育データも医療データも個別議論がやや迷走してしまい「そもそも俺たちって何を守るために法律見直したり新法作ってるんだったっけ」というところで立ち往生しています。
これ、要するに情報法制という法律界では端っこに位置していた界隈が、コンピュータやインターネット、最近では人工知能の飛躍的な技術革新により、すべての分野にちょっとずつ関わる分野であることが現実のものになってきたんだ、ということであります。
最近では、これらの活動を通じて法人さんや霞ヶ関(周辺)からのお声がけが超絶増えてきました。大変ありがたいことなんですが、責任もって一定の品質のサービスを展開するとなると、コミュニティ作らないとむつかしいよなということで、今回『JILISコンサルティング』なるものを立ち上げました。毎月、今回のプライバシーフリーク・カフェのようなコロキウム(談話会)を開催していきたいと思っています。
来たる11月18日(初回)のコロキアムは、俺たちの曽我部真裕御大(JILIS副理事長)を交えて、最近巷で話題の「デジタル時代における情報空間と政府の関与の在り方」について、偽情報対策や情報的健康の観点も踏まえた議論の方向性を吟味してまいりたいと考えています。
情報法制の重要性の高まりは、分野を跨ぐことから、いままであまり想定していなかった問題を相談されたり提起されたりすることが増えました。
例えば、消費者関連で言えば「意味があまりなく良く分からない本人同意原則」というものがあります。アプリやウェブサービスを利用するときに無理矢理結ばされる『利用規約』と『プライバシーポリシー』への合意チェックボックス、これって強制的に合意させる、嫌ならサービスを利用させないという非常に良くない商慣行が横行していることになりますよね。これって、利用目的さえ合目的的であれば何をしても良く、問題のある利活用に対してどういう制約をかけられるのか、ちゃんと分かっている事業者はそう多くないのが実態です。
あるいは教育データ。憲法で認められた子どもの教育権の亢進のために、義務教育やほぼ全員が進学する高校においてどのように子どものデータが活用されるべきかは、あらゆる可能性を秘めた子どもの育ち方をどう規定するのか行政や教育委員会が勝手に決めていいものでもありません。子どもが磨き、社会で生きていくために学び体得する資質・能力に対して、いまの教育データの扱われ方が本当に妥当なのか、きちんと考えられているのでしょうか。公教育はもとより、子どもたちが受ける民間模擬試験や、学習塾は個人に関する情報を適切に利活用できているのでしょうか。
情報は、すなわち上は国家安全保障から下は個人の位置情報・決済情報まで、あらゆる分野で流通するデータと、データへの分析から導き出された情報、そして情報に対する解釈で行われる決定に関与します。この決定において、民主社会を生きる個人が不当に分析の結果・決定で不利を蒙ったり差別を受けたりすることのないよう、保護しようというのが個人情報保護の基本的な考え方であり、これはすべての行政分野に関わる法制であることは言うまでもありません。
翻って、いまや個人情報は国家よりもGoogleさんやAmazonさんAppleさんなど世界的ビッグテックやプラットフォーム事業者が良く把握しています。日本政府は、マイナンバーに紐づける国民の口座番号すら知らないのに、スマホで提供されるアプリには口座番号やクレカ番号が記録されています。そこに広告やクレカ与信などの利用者個人に対する「判断」に資する情報が流通することに対して、国民や行政は無防備で良いのか、という議論は当然出てくることでしょう。
突き詰めれば、私人間効力というかデジタル立憲主義的な考え方として、プラットフォーム事業者などが進展する技術革新に乗じて個人に関する情報を取得し、それを海外に持ち出して無原則に分析して日本国民に対する不利な決定を行い差別的な扱いをする場合に、国家権力を縛る憲法という考え方を超えて、国家が責任もって社会での差別的対応に処置していかなければならないでしょう。
あるいは、生成AIの教師データで権利処理を施されていない元データを大量にネットから収集して育成したアウトプットは、本当に(アメリカ的な)フェアユースの中においてよいのか、また、著作権法30条4項が大事だとしても世界的な知財管理の中でどこまで護持していけるものなのか、様々な論点が情報法制の中に入ってきているのです。
データ資本主義と言われ、データを収集することで未来を予測できる世界観になってきているからこそ、ビジネスも行政もアカデミアも永田町も胸襟を開いて国民の「利便性」や経済の生産性向上に直結するデータの利活用の適正なルールを考え続けていくことが大事だと言えます。
法人や組織ご所属の参画ご希望者の皆さんにはもちろん領収書もお出ししつつ、会合の様子はリアル参加では懇親会まで、またオンラインでもリアルタイム、時間差視聴にも対応いたします。
また、情報法制に関する個別相談や法的対応、第三者員会、アドバイザリーボード、調査委託などは、引き続き情報法制研究所(JILIS)本体にてお請け致します。案件を40件も抱えて青い顔して頑張っている私が窓口になり対応をしますので、お気軽にご相談ください。
情報法制研究所(JILIS)の今後の活動に、是非ご期待ください。
引き続き、よろしくお願い申し上げます。
それにしても、告知文を全部生成AIに読ませて「この文章に相応しいイメージ図を作ってよ」と指示しても、だいたいコロキアムじゃなくコロシアムで日本人同士が刀剣で殺し合いをしている画像しか出てこないのはなんでなんでしょうか。鈴木正朝高木浩光が背負ってきたカルマ(業)みたいなものなんすかね。