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俺たちの神奈川県警、特に落ち度もないのに通報された高名なアレを精神科病院にブチ込んだとネットで誤認され案の定叩かれる一部始終

 日頃の行いが悪いと評判の神奈川県警ですが、今回は特に落ち度はないのにネットで誤解され盛大に叩かれているというので見物にいきました。

 結論を最初に書いておくならば、以下の通り神奈川県警の処置は行政上も全く問題ございません。

「自傷または他害の恐れがある」人物による騒擾の通報は、所轄警察署は23条通報として受理しなければならない(精神保健福祉法)
この場合の23条通報は、内容に応じて「異常な挙動その他周辺の事情から判断して、精神障害のために自傷または他害のおそれのある人」を、保健所長を経て知事に通報する。
状況から判断して、現着した警察官が「自傷または他害の怖れが『ない』と判断できる」とは到底言えなければ、最高裁判例から知事に通報し、知事は調査が必要と判断する場合は指定医に処置を打診する。
指定医が騒擾を起こしている人物の現況や経緯、診察歴から、精神科病院への装置が必要と判断したら、公共の安全と利益を確保する目的で知事または首長(この場合は川崎市長)の命で精神科病院に護送できる。

https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/seiki/seishinhokenhukushihou.kyokutyou.pdf

 当該人物が、神奈川県警に保護され、指定医の判断で精神科病院に護送されたのは本人投稿の内容を見るに間違いないのですが、どういう理由か「神奈川県警が本人に職務質問し、年齢の割に立派過ぎる経歴を持っているので妄想だとして警察がダイレクトに精神病院に送った」というガセネタに昇華し、それが万単位で「いいね」され、ちゃんと仕事をしただけの神奈川県警がDISられるという状況になっています。これはいけません。

 しかし、実際に通報した人がSNSで発信した事件内容を見る限りでは、確かに秒で23条通報のうえで保健所へ通知、精神科病院へ即日護送するのは当然のレベルで、1名の警察官が呼ばれた後で最終的に5名駆けつけ、保健所長の確認と神奈川知事部局(知事室)確認ののち、川崎市長名の命で精神科病院に移送されたのは、むしろ本人のためであったことは間違いない状況です。

その日に通報した人だけど男性の怒号と女性の悲鳴と物を叩く音がめっちゃ聞こえてきて怖かったので通報したまでです。 「言っても理解しないから定型発達は嫌いなんだよ!!」ってブチギレてたのと警察に駄々こねて同行拒否って「触らないでよおお!!」って発狂してていい迷惑だった

https://x.com/yukipone/status/1845779803560984616

 また、所属先の大阪大学でも当該人物の状況については所属学会も含めて認識をしているようにも見受けられ、おそらくは、指定医に判断を求めるタイミングですでに何らかの既往歴があったため現況も踏まえて即日護送という判断になったのではないかと予想されます。

 そもそも、この23条通報の縛りは厳しく、もともとは大阪淡路スナック傷害事件(最判昭57.1.19)において、当時の大阪府警が現況から判断して23条通報を行わなかった結果、騒擾を起こした当該人物がナイフを持ち出し傷害事件を起こし、大阪府警が責任を問われて最高裁まで争って敗訴という判例になっています。

 当該人物が、身柄を拘束されて人権を侵害されたと主張しているようですが、過去の判例から見ても神奈川県警の行ったことそのものは何ら落ち度はないと判断されるべきものでしょう。

酒に酔つて飲食店でナイフを振い客を脅したとして警察署に連れてこられた者の引渡を受けた警察官が、右の者の飲食店における行動などについて所要の調査をすれば容易に判明しえた事実から合理的に判断すると、その者に右ナイフを携帯させたまま帰宅することを許せば帰宅途中他人の生命又は身体に危害を及ぼすおそれが著しい状況にあつたというべきであるような判示の事実関係のもとにおいて、右の調査を怠り、漫然と右の者から右のナイフを提出させて一時保管の措置をとることなくこれを携帯させたまま帰宅させたことは、違法である。

courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=54257

 問題は、本当に精神的に錯乱している人物が発信した与太話に関して、いくら神奈川県警が過去にやらかし多数で批判を浴びていたとはいえ、酷いガセネタを流され、まともに仕事をしていただけであろう警察官まで一緒くたに揶揄されてしまうのかという点です。偽情報とかフェイクニュースとか以前に、これは行政法(警察官職務執行法や精神保健福祉法)を知らなくても最低限のリテラシーの範疇じゃないかと思うんですよ。

 本人も過去ツイで治療歴や処方箋・服薬内容も開示していましたが、要するに既往歴があり加療中なのであって、何らかの理由で錯乱したのであれば当然警察官は周辺の安全確保だけでなく本人のためにも保護しなければならないし、正当な執行を行っただけであると言えます。にもかかわらず、単に神奈川県警の評判が悪いからという印象だけでネット上でのガセネタが大量に流布され、保健衛生が危機に晒される可能性があるハネ方をするのは良くないなあと思います。

 ヤバい事件であるだけでなく、受け止める側もいったん冷静になって欲しいと思わずにはいられない案件でした。錯乱したご本人も適正に加療してうまく立て直して貴重な研究に邁進していただければと願うとともに、周辺住民の皆さまの安寧と、あらぬ批判を受けてしまった神奈川県警の皆さんには心よりお見舞い申し上げます。

 画像はAIが考えた『俺たちの考えた最も美しい神奈川県警』です。


神から「お前もそろそろnoteぐらい駄文練習用に使え使え使え使え使え」と言われた気がしたので、のろのろと再始動する感じのアカウント