"違和感"こそが心地よい
「違和感」
誰しもが、この言葉を聞いたとき、いいイメージを持たないだろう。
「違和感」という言葉は、何らかの疑念であったり、はたまた自分の中の何かのバランスが崩れた時によく出る言葉だ。
大抵の場合、その直感というのは当たっていて、そしてあまり良いということはない。
逆に、「違和感」がない状態とは状況だろうか?
何事もなく事が進んでいき、調和がとれた日々が流れ、誰も何も邪魔をしない状況と言ったところだろうか。
確かにそれは心地よいと言えるだろう。
だがそれは裏を返せば、色なき水の中を彷徨っているとも言える。
縦横無尽なる自由は、眩暈すらも認識させない。
目指すべき方向は、次第にその形を失っていく。
「違和感」がないというのは、全てを錯覚させる。
底のない、仄暗い水の中へと片足を入れていることにさえ、感じることが出来ない。
「違和感」のない世界では、温度でさえ、僕らは感じることが出来なくなってしまうのだ。
風の涼しさも、人の温かさでさえも。
今、自分が過ごしやすいと思っているのなら、一度立ち止まって、後ろを振り返ってみるといい。
それは、自分が作り出した空想を泳いでいるだけで、実際は溺れかけているかもしれないからだ。
溺れてしまってからでは、もう遅い。
「違和感」に満ちた世界は、実にバランスが悪い。
彼方立てれば、此方が立たず、右手で握れば、左手で取りこぼす。
そんなバランスの悪さに折り合いをつけていく過程こそが、人生の醍醐味と呼べるのではないだろうか。
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