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成年後見制度と相続の基本:家族のために知っておきたいポイント

東京都江戸川区船堀、相続・企業法務専門の司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。


はじめに

今回は、相続対策の一環として重要な「成年後見制度」についてお話しします。

近年、相続手続きの際に親が認知症で手続きが進まないといった相談も増えていますので、相続時に成年後見制度がどう関わるのか、わかりやすく解説します。

成年後見制度とは?その目的と役割

成年後見制度とは、認知症や精神障害などで判断能力が不十分な方を保護し、財産管理や契約を安全に行えるようにする制度です。

成年後見制度には、以下の2種類があります。

法定後見制度:家庭裁判所が後見人を選任する制度で、さらに「後見」「保佐」「補助」の3つに分かれます。

任意後見制度:判断能力が十分あるうちに、将来のために自分で後見人を選んでおく制度です。

法定後見制度の概要

法定後見制度は家庭裁判所が決定する制度で、以下の3つの類型があります。

後見:認知症や精神障害により判断能力を欠く状態の方に適用されます。後見人が全面的に財産管理や生活支援を行います。

保佐:判断能力が著しく不十分な方に適用され、一部の重要な行為には保佐人の同意が必要です。

補助:判断能力がやや不十分な方が対象です。本人の同意をもとに、特定の行為について補助人の同意を必要とします。

成年後見制度が相続に与える影響

成年後見制度は相続手続きに大きな影響を及ぼします。

後見制度が開始されると、被後見人(本人)は財産を自由に動かすことができなくなります。

不動産の売却や大きな契約には家庭裁判所の許可が必要です。

また、相続税対策や遺産分割の計画が制限されることもあります。

後見人の役割:相続手続きが必要な場合、後見人が財産管理を行います。後見人には家庭裁判所が監督を行い、報酬も本人の財産から支払われます。

後見人の辞任:一度後見人になると、特別な事情がない限り、後見人は辞任できません。また、後見人が専門家(司法書士や弁護士)である場合、家族の意向だけで解任は難しいです。

任意後見制度の活用

任意後見制度は、本人が判断能力を失う前に後見人を指定しておく方法です。

任意後見契約は公正証書で行い、将来的に安心して財産管理を任せられる点がメリットです。

判断能力があるうちに自ら決めておくことで、信頼できる人に財産を託すことが可能です。

成年後見制度を利用する前に生前相続対策を行う

成年後見制度は、財産を守るための制度である一方、財産を動かす自由が制限されるというデメリットもあります。

そのため、成年後見制度を活用する前に、以下のような生前対策を行うことが有効です。

遺言書の作成

遺言書を作成することで、財産分割に関する本人の意思を明確に示すことができます。

認知症が進行する前に作成しておくと安心です。

贈与や家族信託

贈与や家族信託を活用することで、財産管理や相続税対策を生前に行うことができます。

特に家族信託は、判断能力が低下した場合でも信頼できる家族に財産管理を託せる方法として注目されています。

まとめ

成年後見制度は、相続対策にも関係する大切な制度です。

財産を守るために制度を理解し、適切に活用することが重要です。

家族の将来を見据え、後見制度のメリットとデメリットを踏まえ、必要に応じて生前相続対策を行っておきましょう。

この内容が少しでも参考になれば幸いです。

詳細やお問い合わせは、当事務所のウェブサイトまでどうぞ。


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