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これだけは知っておきたい!相続税の「課税価格」をわかりやすく解説

東京都江戸川区船堀から、相続・企業法務専門の司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。


はじめに:相続税の仕組みを知って、将来に備えよう!

相続が発生すると、残された家族は悲しみに暮れる間もなく、様々な手続きに追われます。

中でも、相続税の申告と納税は複雑で、多くの人が頭を悩ませる問題です。

今回は、相続税計算の基礎となる「課税価格」について、専門用語をなるべく使わずに解説していきます。

自分自身の相続財産の把握や、将来の相続税対策にも役立ちますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

ステップ1:相続税の対象となる財産を計算する

相続税を計算する最初のステップは、「課税価格」を算出することです。

課税価格は、相続税を計算する際に基準となる金額で、次の計算式で求められます。

課税価格 = ( 本来の相続財産 + みなし相続財産 + 相続時精算課税制度による贈与財産 + 生前贈与加算 ) - ( 非課税財産 + 債務・葬式費用 )

少し複雑な式に感じるかもしれませんが、一つずつ詳しく見ていきましょう。

1. 本来の相続財産:亡くなった方が持っていた財産

本来の相続財産とは、亡くなった方が所有していた財産のうち、お金に換えることができるものを指します。

  • 現金

  • 預貯金

  • 株式

  • 不動産(土地、建物)

  • 宝石や貴金属

  • ゴルフ会員権

  • 債権(貸しているお金)

などが該当します。

さらに、亡くなった時に受け取る権利が確定していた給与なども含まれます。

2. みなし相続財産:相続によって受け取る財産

みなし相続財産とは、本来は相続財産ではありませんが、相続をきっかけに受け取る財産のことです。

代表的なものとして、生命保険金や死亡退職金が挙げられます。

  • 生命保険金:亡くなった方が保険料を支払っていた生命保険で、相続人が受け取る保険金のことです。

  • 死亡退職金:亡くなった方が会社員や公務員だった場合に、遺族が受け取る退職金のことです。

3. 相続時精算課税制度による贈与財産:生前に贈与された財産

相続時精算課税制度とは、生前に親や祖父母から子や孫へ財産を贈与する際に、贈与税の負担を軽くし、その代わりに相続時に相続財産に加算して相続税を課す制度です。

この制度を利用して贈与された財産は、相続時に相続財産に加算されます。

4. 生前贈与加算:相続開始前3~7年以内の贈与

相続開始前3~7年以内に贈与された財産は、一定の金額を超えると相続財産に加算されます。

2024年1月1日以降は、この加算期間が段階的に3年から7年に延長されます。

5. 非課税財産:相続税がかからない財産

相続財産の中には、相続税がかからないものがいくつかあります。

  • 墓地、墓石、仏壇、仏具など

  • 生命保険金や死亡退職金のうち、一定額以下

  • 遺族が生活に困らないようにするための財産(遺族控除の対象となる財産)

6. 債務・葬式費用:相続財産から控除できるもの

亡くなった方の残した借金や葬儀費用は、相続財産から控除することができます。

  • 控除できる債務:借金、未払いの医療費、未払いの税金など

  • 控除できない債務:墓地の購入費用、遺言執行費用など

  • 控除できる葬式費用:通夜、告別式、火葬、納骨費用など

  • 控除できない葬式費用:香典返し費用、法要費用など

まとめ:課税価格を理解して、相続に備えよう

相続税の課税価格は、上記の要素を元に計算されます。

ご自身の相続財産や、ご家族の状況を把握しておくことは、将来の相続税対策や、円滑な相続手続きのために非常に大切です。

今回の記事を参考に、エンディングノートなどを活用して、ご自身の相続について考えてみてはいかがでしょうか?

この内容が少しでも参考になれば幸いです。

詳細やお問い合わせは、当事務所のウェブサイトまでどうぞ。


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