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贈与税の基礎から始める暦年贈与の活用法

東京都江戸川区船堀から、相続・企業法務専門の司法書士・行政書士の桐ケ谷淳一(@kirigayajun)です。


はじめに

贈与税という言葉は知っていても、実際にどういった仕組みで課税されるのか、わからない方が多いと思います。

特に「暦年贈与」とは、生前に財産を少しずつ渡すための重要な制度です。

今回は、贈与税がまったくわからない方や、暦年贈与を利用した相続対策を考えている方向けに、わかりやすく解説していきます。

最後までぜひ御覧いただき、具体的に暦年贈与を導入したいという方はぜひ税理士をご活用ください。

暦年贈与とは?

暦年贈与とは、毎年110万円までの贈与に対して贈与税がかからない制度です。

この110万円の基礎控除を使い、毎年少しずつ財産を贈与することで、相続時の財産を減らし、相続税の負担を軽減できます。

例えば、親が毎年子どもに110万円を贈与すれば、長期的に見て大きな財産移転が可能になります。

暦年贈与のメリット

相続税の節税ができる

暦年贈与を活用することで、一度に多額の財産を相続するよりも、相続税を大幅に減らせます。

長期間にわたって毎年少しずつ贈与することで、財産を少しずつ移すことができます。

家族への支援ができる

生前に贈与することで、教育資金や住宅購入資金など、家族の大きな出費をサポートできます。

特に、若い世代に早く財産を渡すことで、より効果的に使ってもらえます。

相続時のトラブルを防げる

相続の際に財産をめぐる争いが起こることを防ぐため、事前に生前贈与を進めておくことが有効です。

これにより、遺産分割時のトラブルを減らし、円満な相続を迎えることができます。

暦年贈与の注意点

贈与契約書をしっかり作成することが重要

贈与を行う場合、双方の合意があることを証明するために、贈与契約書を作成することが必要です。

贈与契約書を作成しておかないと、贈与の事実を証明できない場合があるため、契約書の作成は必ず行いましょう。

また、場合によっては公証役場で確定日付を取得することで、さらに確実な証拠となります。

贈与税の申告を忘れないこと

年間110万円を超える財産を贈与した場合、受贈者(贈与を受けた人)は贈与税の申告が必要です。

申告の期限は、贈与を受けた翌年の1月1日から3月15日までなので、忘れずに税務署に申告しましょう。

規則的な贈与にはリスクがある

毎年同じ金額で贈与を繰り返すと、税務署から計画的な贈与とみなされ、まとめて大きな贈与とみなされる可能性があります。

そのため、贈与額や時期を工夫して、規則的に見えないようにすることが大切です。

他の相続対策との併用も検討すること

暦年贈与は有効な相続対策ですが、それだけでは不十分な場合もあります。

例えば、遺言書の作成や、生命保険を活用した相続対策も併用することで、さらに効果的に財産を引き継ぐことができます。

総合的な相続対策を考えることが、将来の安心につながります。

暦年贈与と相続時精算課税制度の比較

暦年贈与のほかに、「相続時精算課税制度」という選択肢もあります。

この制度では、60歳以上の親が18歳以上の子どもに対して2,500万円までの贈与が非課税となりますが、将来の相続時に贈与した金額を相続財産に加えて計算します。

一方、暦年贈与は相続時に再び計算されることがなく、毎年の贈与で税額が確定します。

どちらの制度が自分に合っているか、専門家に相談しながら選ぶことが重要です。

まとめ

暦年贈与は、生前に財産を効率よく移転し、相続税を軽減するための非常に有効な方法です。

しかし、正しい手続きや税金の申告を怠ると、思わぬトラブルや負担が生じることがあります。

しっかりと贈与契約書を作成し、贈与税の申告を行いながら、計画的に贈与を進めていきましょう。

疑問や不安がある場合は、税理士に相談することをおすすめします。

暦年贈与を活用して、将来の相続を円滑に進めていく一歩を、今日から始めてみてください。

この内容が少しでも参考になれば幸いです。

詳細やお問い合わせは、当事務所のウェブサイトまでどうぞ。


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