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お誕生日に贈りたい本

お誕生日という素敵な日に、私だったらあなたにこの本を贈りたいと思う。

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1.「二人がここにいる不思議」 レイ・ブラッドベリ
ブラッドベリ=SFとして嫌厭するにはもったいない良作が揃う短編集。

私がもっとも好きな作家なので、まあ勧めるよね。

もっとも好きな短編集を聞かれたらば別の短編集を答えるけれど、どれを勧めるのかと言われれば、これ。「二人がここにいる不思議」。

ブラッドベリは短編の名手で、亡くなるまでに山ほどの短編を作ってきたのだけれど、これには比較的最近(とはいっても80年代!)の作品がまとめられている。

「生涯に一度の夜」は、きっと誰にでも ある/あった はずの特別な一夜の話。暖かい春の夜になると、私はまだその夜を待とうとしてしまう。
「トインビー・コンベクター」は、これぞレイ・ブラッドベリという一作だし、この物語に出てくる老人はレイ自身だと言っていて、私はその言葉に「やっぱり!」って嬉しくなったりもした。
「未来」のために「過去」を使用し、肯定する日に贈りたい物語。

じんわりいい話からちょっとしたホラーまで、すっきりと読みやすく、時に「お上手!」となる短編集の見本のような短編集。
たまに「うーーーーーーん」という作品が混じっているのも、そう。

2.「ハンバーガーを待つ3分間の値段」 斎藤由多加
「シーマン」をつくったゲームクリエイター 斎藤由多加さんのエッセイ。

世の中の「あたりまえ」「ふつう」「そうだよね」に首をかしげた瞬間、その角度であらたに見えるもの、気付くことってあるよね。
「発想術」と紹介されてはいるけれど、スキルや自己啓発的なものというよりも、単純に物の見方と文章がとってもとても面白い一冊。

日々捉え切れていない小さな問題やストレスに名前をつけることで、とたんに可視化できてしまう「バンテリン現象」や、日常に潜むエイリアンの話が特に好きです。好きだし、今も日常で使っている。この方法を。

読後、「ああ面白かった」って本当に声に出したのは、大人になってからは初めてかもしれないな。

楽しかった夜、その余韻を冷めさせないままクスっと笑って終わらせられるような本。

3.「天の光はすべて星」 フレドリック・ブラウン
フレドリック・ブラウンの代表的な名作。(長編)  

作品も当然良いのだけれど、邦題が完璧に素敵で優勝!だと思っています。
とんでもなく良い仕事では。
これも、SFとして避けるにはもったいない、情緒溢れる良い物語(ストーリー)として楽しんでいただきたい一作。

1997年、人類の宇宙への熱が冷めてしまった未来(今では過去!)が舞台。(1953年の作品らしいですよ)
「宇宙なんて」「宇宙開発なんて」という無関心な言葉や嘲笑が聞こえる世界で、空っぽの日々を過ごしていた元宇宙飛行士が主人公。
マックス(57)。そんな世の中でもなお、宇宙に焦がれる男。
彼のモノクロのような日々が、「木星探査計画」を公約に立候補した女性上院議員候補を知った瞬間から色を取り戻し、再び宇宙を目指す物語だ。

というふうに書くと、夜空と宇宙の物語だと思ってしまうけれど、これは地べたの物語。
「それでもなお」宇宙への情熱を捨てきれない人たちを「星屑」と称するロマン!
大地に立ち、空を見上げる人(たち)のロマンチックな話。

読み終わったときに「…思っていたのとは違う」となるかもしれないけれど、それはきっと悪いものではないはずだ。
表紙の意味がわかったときに、私は「ああ」って声を出しました。それは感嘆に近い。

「若い」という年齢を通り過ぎてきた今だからこその「もう一度」を、思い出させてくれる小説。たとえあなたが何歳であっても。

4.「ほかに誰がいる」 朝倉かすみ
美しい同級生の女の子に恋をした女の子の話。と、書くとあれなんだけど。

前半はとんでもなく切実で、真剣で、痛切すぎて、始発の東海道線で読んでいて少し泣いてしまった。
朝陽の眩しさや、あくびでごまかすにはトゥーマッチな量の涙だったと思う。

美しい同級生の女の子(同性)が好きだ・・・を通り越して「(絵具の色が混ざるように)ひとつになってしまいたい」という気持ち、「ぜんっぜんわからない」という人以外には、きっとあの瞬間がくるはず。
「あ、知ってる」という瞬間。
この気持ち、この思い、この怒り、この痛み。
まるっきり同じでなくとも、いつかの私が感じたものと似たそれが書かれている。
繊細に、淡々と、しっかりと。
全体的に「間違っている」のだろうけど、それはそれなのだ。
そんなことは些細なことでしかない。
この気持ちも、知ってるね。

中盤からは主人公の思い=静かな狂気が自由に暴れ始めるので、若干ホラーにもなってくるのだけれど、それを含めて最後の着地は良かったと言いたい。
主人公の頭をなでてあげたくなるような気持ちで私はいつもこの本を閉じる。

「生まれる」ことで救われる物語。

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読んだことのない本があれば、是非! おすすめおすすめ。
全部読んだ事がある?
それはもう私とお茶をしながらお話しするしかないよね。
じゃあ、そのお茶をおごらせて!

 改めて、お誕生日おめでとう。
あなたにとって良き日々、良き人生になりますように☆

いただいたサポートは、現在ですとシルバニアの赤ちゃんかマウントレーニアのクリーミーラテになり、私がそうとう幸せになります♥