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ヒルデガルトの小径|Under the rose|ヒルデガルトのシークレット・ガーデン

 12世紀の聖女ヒルデガルトが丹精こめて造った庭には、どのような植物や昆虫が棲んでいたのだろう?

《ヒルデガルトの小径》展会場風景(以下同)

 彼女が遺した音楽や、植物や医学についての膨大な書から想像すると、修道女らしい清らかさだけではない、個性的な美しさを湛えたちょっとビザールな動植物も生息していたと思われる。清濁併せ呑む聡明な知性こそが、時の皇帝や教皇にまで影響を与えたヒルデガルトの魅力だからだ。

 今回、霧とリボンの企画展に初登場のUnder the rose=『秘密』という魅惑的な名の宝飾店から聖女の庭に放たれるのが、艶やかな色彩で、触れてみたくなるビロードのような素材に、煌めくビーズやフレンチワイヤーで、丁寧な手仕事で創作された花と昆虫の幻想的な趣のブローチの3シリーズだ。

 霧とリボンの永遠のテーマである菫がモチーフの、愛くるしい曲線が際立つフォルム。アンティークのような雰囲気と、どこか物語やペーソスを感じさせる菫たち。ヨーロッパで古くから愛される菫のキャンディのごとく、甘さの中にも一瞬、薬草か香水のようなピリリとしたスパイシーさが薫る逸品。

 花開く直前の最も美しい瞬間を切り取ったかのような、立体的な薔薇のブローチ。蕾の中には白く優しいパールと煌めくスワロフスキー。ビーズの上品なエンブロイダリーは、12世紀に宮廷の愛を詠ったトルバドゥールの世界を思わせる。

 鮮やかなブルーとモーヴのコントラストが印象的な翅と、フカフカの白いボディとパール、そしてゴールドが美しい華麗な蝶。その鋭敏な触覚でヒルデガルトの庭で何かを感じ取り、歓喜するように舞う姿。

 聖女のシークレット・ガーデンのブローチのどこかには、他にも貴重な蝶が隠れているので、Under the rose自身による美麗な写真とロマンティックなお話を味わいながら、探してみてほしい。 

会場風景写真|霧とリボン

Under the rose | ビーズ刺繍アクセサリーブランド Twitter
碧い茨に隠された『秘密』(Under the rose)という名の宝飾店。
 月が差し込む硝子ケースの舞台には 天鵞絨で着飾った
 多様な動植物が集う ミラの星が輝く晩
 仮初の自由を手に 一夜限りの宴が始まる…
「空想宝飾店」をテーマに、昆虫をはじめとした動植物のアクセサリーを制作・販売しております。ビーズ刺繍で着飾った、華やかで不可思議な世界をあなたに。

江口理恵|音楽ディレクター・翻訳家 →Instagram
レコード会社の洋楽部で海外渉外業務を経て、クラシック制作ディレクター。クラシックのコンピレーション・シリーズで「日経WOMANウーマン・オブ・ザ・イヤー2006」ヒットメーカー部門受賞。現在はフリーで音楽ディレクターや音楽関連の翻訳業務を行っている。



作品販売期間
【7月9日(土)23時~11日(月)23時】

作家名|Under the rose
作品シリーズ名|ビーズ刺繍のビオラのブローチ No.8「ビビ アンティーク」(3色)

フェルト・スウェード・ベロア・ガラスビーズ・フレンチワイヤー
作品サイズ|約7cm×60cm/約7g
制作年|2022年(新作)
*デザイン発表2021年/赤紫は新色
*オンラインショップに別ショットの詳細画像を掲載しています

作家名|Under the rose
作品シリーズ名|ビーズ刺繍の薔薇のブローチ No.26「トルバドゥール」(2色)

フェルト・スウェード・ベロア・ガラスビーズ・フレンチワイヤー
作品サイズ|約8cm×4.5cm/約8g
制作年|2022年(新作)
*デザイン発表2022年/モーヴは新色
*オンラインショップに別ショットの詳細画像を掲載しています

作家名|Under the rose
作品シリーズ名|ビーズ刺繍の昆虫ブローチ No.29「ヴィオレッタ」

フェルト・スウェード・ベロア・ガラスビーズ・フレンチワイヤー
作品サイズ|約7.5cm×6cm/約10g
制作年|2022年(新作)
*オンラインショップに別ショットの詳細画像を掲載しています*

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