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少女の聖域vol.3|chigusa|ガーディアン・ラビット

 魔法使いに眷属は欠かせない。
 魔術師というと男性のイメージが強く、魔女なら女性となるが、魔法使いは性別を問わない。
 すべからく少女は魔法使いであり、魔法使いは老若男女誰でもなる資格があるのだ。

 ふわふわのうさぎたちは、少女の相棒に相応しい。
 こちらの元気一杯のうさぎは、少女の周囲を駆け回り、お洒落の相談にものってくれる。色とりどりの宝石の欠片は、少女の夢や願いを詰め込んだ冒険の道標。

 虹色の軌跡を描く魔法の呪文を唱えて、相棒のうさぎと共に旅に出よう。
 その先に待っているのは数えきれないほどの可能性だ。

 ツノの生えたうさぎ、ジャカロープ。
 魔法陣に座って召喚に備えるこのこは、これから始まる少女と過ごす時間を胸躍らせて待ち侘びている。

 星々をつなぎ合わせ時空を一緒に超えるには、その眼に深々と宇宙を映し、小さな脚に無限の力を溜めておかなければならない。
 少女がこれから立ち向かわなければならない全ての困難を、共に戦い勝ち抜くために。

 少女が上手に魔法を使えるようになるために、天使うさぎたちはせっせと雲に浮かぶフラスコにキラキラ光る培養液を注ぎ入れる。

 培養液には、世界の不思議を詰め込んだ本や、思わず踊り出したくなる音楽、美味しいお菓子とお茶、怪しいキノコや瓶に入った妙薬、タロットカードにマンドラゴラなどなど、少女に欠かせない成分が溶け込んでいる。

 天使うさぎは、少女が魔法で満たされているか、チェックに余念がない。

 少女を守護する存在としてうさぎを描くchigusaの作品は、あたたかく優しい。
 守護とは単に傍にいるというだけのことではない。ときに心無い攻撃の盾になり、またときに少女と共に武器を手に戦う、うさぎたちは頼もしい相棒なのである。

 辛い時悲しい時、たとえその存在を感じられないとしても、うさぎたちは少女をいつも見守っている。
 chigusaが描く透き通った色彩の中で、少女は七色の眼をしたうさぎたちにふんわりと包まれているのだ。

chigusa|絵描き →Twitter
少女や少年、うさぎを主なモチーフに透明水彩、鉛筆、ペンを使用し作品を制作しています。
2019年「孵化」公募展(green&garden)
2019年「花言葉に弔いを」公募展(gallery hydrangea)
2020年「花に囁く物語」Web企画(gallery hydrangea)
2021年「花に囁く物語 ep.2」Web企画(gallery hydrangea)
2021年「真冬の寓話展 BORN UNDER PUNCHES」公募展(green&garden)

高柳カヨ子|精神科医・元法医学教室助手・少女批評家 note
東京上野で生まれ育ち、東京理科大学理工学部応用生物科学科・信州大学医学部医学科卒業。法医学教室でDNA鑑定を専門とした後、精神科の臨床に進む。Bunkamuraギャラリー「新世紀少女宣言」キュレーション/『夜想ーゴス特集』インタビュー/『夜想ー少女特集』評論/『S-Fマガジンー伊藤計劃特集』アーバンギャルド論/パラボリカ・ビス「アーバンギャルド10周年記念展」キュレーション/gallery hydrangea 「『少女観音』~12人のアーティストが描く篠たまきの幽玄世界」キュレーション。
あらゆる時代と時間を超えた少女たちに捧げる少女論「少女主義宣言」をnoteにて連載中。霧とリボン運営の会員制社交クラブ《菫色連盟》にてトークサロン「少女の聖域」を主宰、「少女性」をテーマに展覧会《少女の聖域》を定期開催している。



作家名|chigusa
作品名|magical mates #1

透明水彩・インク・鉛筆・ワトソン紙
作品サイズ|13.5cm×14.2cm
額込みサイズ|22.6cm×22.6cm
制作年|2022年(新作)

作家名|chigusa
作品名|magical mates #2

透明水彩・インク・鉛筆・ワトソン紙
作品サイズ|16.5cm×20cm
額込みサイズ|29.5cm×38cm
制作年|2022年(新作)

作家名|chigusa
作品名|魔法少女培養液

透明水彩・インク・鉛筆・スパークルメディウム・ウォーターフォード紙
作品サイズ|28.6cm×20cm
額込みサイズ|38cm×29.5cm
制作年|2022年(新作)
*スパークルメディウム使用箇所が観る角度によってラメでキラキラ光ります

スパークルメディウム使用箇所が
観る角度によってラメでキラキラ光ります

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