ヒルデガルトの小径|DAY 2
本記事はオンライン展覧会《ヒルデガルトの小径》DAY 2の配信記録です。
Text|霧とリボン
菫色の小部屋に明滅するちいさな灯り。ふいに過ぎる清冽な香り。音色が弾む小宇宙——雨曇りのモーヴグレイに包まれた一日、菫色の小部屋にはヒルデガルトの時間がしっとりと流れて。
DAY 2の本日、小径を散策して下さいました皆様に御礼申し上げます。
本日最初のご紹介は、ガラス作家・keino glass様と美術作家・内林武史さまによる静謐を極めるオブジェ作品。初コラボレーションとなる、お二人の豊潤なる芸術性が交差する特別なシリーズをお披露目する機会に恵まれ、胸いっぱいです。
いにしえの記憶が降り積もる木箱、その十字架の窓枠の奥に、ヒルデガルトたちの息遣いが刻まれています。灯りに照らされたガラスの風景は、ヒルデガルトへの道標。私たちの精神に灯った共通の拠り所として、この風景をずっと覚えていたいです。
エッセイ担当のヴィクトリア朝文学研究者・熊谷めぐみ様と霧とリボンのご縁は、2020年に共同開催した《ディケンジング・ロンドン》展から。チャールズ・ディケンズにオマージュを捧げた展覧会のメインヴィジュアルを内林武史さまの物語性高いオブジェ作品が飾りました。今回こうして、keino glass様を交えた作品とエッセイの新たなご競演をお届けでき、幸せです。
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ひとつひとつの植物の香りにこころを寄せて、馨しきキャンドルを紡ぐun jour様の手仕事。芸術的でありながら慎ましい外装をほどいてキャンドルにあかりを灯す時、ヒルデガルトの時代から変わらず続いてきた人々の営みに思いを馳せます。
やさしい香りは懐かしく、新しい。
これまでもun jour様の香りに心奪われてきましたが、数年前から本格的にポプリ制作に取り組むようになり、精油を扱うようになった今、研ぎ澄まされた感性で植物の声を聞くun jourさまの調香に、多くを学んでいます。
本展巻頭エッセイを手がけた江口理恵さまによる怜悧な一篇が、un jour様のキャンドルの精神性と共鳴し、背筋がピンと伸びるページに仕上がりました。
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こころの聖所と呼びたい、英国の映画監督デレク・ジャーマンの終の住処「プロスペクト・コテージ」の庭が、中村菜都子さまとの出会いです。
2015年に発表された版画シリーズ「Derek Jarman’s Garden」の、夜空に浮かぶコテージや庭の風景を観た時、世界に光を彫刻するための、喪の色である「黒」の美しさに深い感銘を受けました。
ヒルデガルトの道徳劇から着想した本展出品作でも、黒が印象的に配され、聖なる小宇宙を構成しています。
ヨネヤマヤヤコ様がタイトルに選んだ「生ける光の影」の秀逸。ヒルデガルトが幻視体験をそう呼んだことからの引用です。ひとつひとつのボックスの中で、光と影による一幕がいままさに上演されているかのよう。
作品とエッセイの豊かなご競演もひとつの舞台と言えましょう。
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それでは、本日DAY 2の配信記録をお届け致します。毎日夜更新される一日のまとめ記事をご覧になれば、見落としなく配信内容をチェックできますので、ぜひご活用下さい。
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明日から二日間(6/24・25)配信はお休みです。
6/26からの後半二日間も
ぜひヒルデガルトの小径へ遊びにいらして下さい。
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販売期間は【7月9日(土)23時〜11日(月)23時】の3日間。前期後期共通となります。販売は下記バナーの霧とリボン オンラインショップにて。
*先着順販売・通販限定
6/27の夜までに、本展前期グループ展の全作品が並びます。販売開始まで時間に余裕がありますので、どうぞゆっくりご検討ください。
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