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インクルーシブデザインのワークショップに参加した話

11月9日(木)にCULUMUさん主催のインクルーシブデザインのワークショップに参加しました。
その時にやったことや気づきを書いていきます。

参加した理由

理由は2つあります。
1つ目は、最近インクルーシブデザインに興味を持ち、もっと知りたいと考えていたためです。
2つ目は、デザインをする時にターゲットを自分にすることが多く、もっと多様な人たちをターゲットにしたいと考えたからです。自分と違う人物に設定すると、ターゲットの詳細を決めるのに時間がかかってしまい、結局自分寄りのターゲットにしてしまうので、それを改善したいと考えていました。

前日〜会場到着

前日に受信したメールで名刺が必要なことがわかり、1時間半程でAdobe illustratorで名刺をデザイン→PDF化→コンビニで印刷→裁断をしました。

当日は駅から会場まで若干距離があり、時間までに到着出来るのか不安に思いつつ、会場まで辿り着けました。
Peatixの地図が分かりやすかったです。

自己紹介と「この冬挑戦したいこと」〜レゴでアイスブレイク

イベント開始時刻になり、ワークショップ前にグループ内で行いました。
この日のグループは全部で3グループ。

まずは、自己紹介と「この冬頑張りたいこと」を各々発表。
(私は末端冷え性持ちなので「頑張って靴下を履きます」と発表しました)

その次のお題に沿ってレゴをする時間では、ある条件に苦しめられつつ少し難しかったですが、程よく緊張が解けたと思います。

ワークショップ開始

テーマを決める

テーマは以下の3つです。
各グループで、どのテーマを選ぶのか話し合いで決定。

・コンビニおでん
・初詣
・クリスマスイルミネーション

私のグループは「コンビニおでん」を選びました。

コンビニおでんを買う一連のタスクを書く

コンビニに入店してから、おでんを買って、店を出るまでのタスクを付箋に書いていきました。

複数人でタスクを書いていくことで、自分が普段意識していないだけで、かなりたくさんのタスクがあることが分かりました。

中には「2パターンある」タスクもありました。

例)

入店時・退店時
・手動ドアを開ける
・自動ドアの前に立つ

おでんを選ぶ時
・自分で取る→容器を手に取る
・店員さんに取ってもらう→容器を選ぶ

ひとりだと気が付かないことでも、グループワークだと気付くことが出来て良いなと思いました。

カードの人たちを「困り度」別に分ける

マイノリティとして排除されている多様な人々のパーソナリティが書かれた『インクルーシブデザインカード』を困り度別に分類していきます。

机に広げられた大きなシート(イメージ)にカードを置いていきます。

カードを赤・黄・緑の3エリアに分け、赤・黄に分けたカードに具体的にどんなことで困っているか、カードの情報を参考にして、付箋に書き出しました。

グループ全員が「この人はとても困るだろう」と意見が一致するカードもいれば「子連れなら問題ないのでは」「いやいや、子どもと手を繋いでいたり、買い物袋や子どもの荷物を持っていたら両手が塞がるので、おでんを自分で器に入れるのは無理だと思う」など、ひとによって視え方が違うと思いました。

このタイミングでCULUMUの方々が「赤のグループのカードと黄色のグループから付箋をつけた方が良い」とアドバイスをいただきました。

ペルソナ(困っている人)をひとり選ぶ

わたしたちのグループでは「先天的に目が見えない高校生」を選びました。

カード表面には、どんな人物なのかざっくり説明されています。
カード裏面には、表面の情報にプラスして氏名・年齢・どんな人物なのか詳しく書かれています。

選んだ理由は「一番大変そうだから。入店時から難しいのでは?」と考えたためです。

身体的要因と心理的要因を書き出す

ここからは課題深掘りシートを使って、選んだペルソナの身体能力の程度やテーマ(コンビニおでんを買うこと)についてどんな気持ちなのか、先ほど登場したインクルーシブデザインカードを参考に書き出しました。
まず○、△、×で判断し、△や×の場合は具体的に書きました。

身体的要因の例)
・見え方の程度
・聞こえ方の程度
・体力の程度
など

心理的要因の例)
・テーマを取り組みたい気持ちはあるか
・テーマについての知識はあるか
・普段どんなことで気分が上がるか、下がるか
など

実際に書き出した課題深掘りシート。左が心理的要因、右が身体的要因。

私たちのグループでは身体的要因は「見え方の程度」「色の認識の程度」などの視覚的な要因は×、「聞こえ方の程度」は◯だけど、聴覚に頼るので常に疲れているかもしれないので「体力の程度」は△にしました。

一方で心理的要因は、カードの「自分でやりたい」「アクセシビリティ機能を使っている」という情報から、「テーマを取り組みたい気持ちはあるか」=「コンビニおでんを買いたい気持ちはあるか」は◯、「テーマについての知識はあるか」=「コンビニおでんの買い方を知っているか」は目が見えないから店内のレイアウトがわからない、自分で買うことは不慣れでは?と考え、△にしました。
また「普段どんなことで気分が上がるか、下がるか」もカードの情報から「コンテンツが良いとテンションが上がる」「困っている時に助けられると嬉しい?」「自分でやりたい時は、逆に嬉しくないかもしれない、悔しいかも」など書き出しました。

コンビニおでんを買えるようにアイデアを出していく

いよいよ、アイデアを出していく段階です。
先天的に目が見えない高校生がコンビニでおでんを買えるようにアイデアを出していきます。

この段階では「出来るかどうかは考えずに」「ハンディキャップとパーソナリティの両方を意識しながら」アイデアを出しました。

私以外のお三方からたくさんアイデアが出てきて、かなり圧倒されました。
例えるなら、私がちいかわだとすると、他のお三方はラッコです。圧倒的戦力差。

このお三方はご自分でアイデアを出しつつ、他の方のアイデアに対して「こうすると、より良くなるかも」とアイデアをポンポン出していたのが凄かったです。
例えば、私が「コンビニのおでんの容器って、ツルツルしていますよね。なので、ざらつきというか、もっとデコボコした容器にすると使いやすそうですよね」と言ったところ「なら、容器に点字をつけて、物語を読み取れるようにしたらいいのでは」というアイデアをいただき、最初よりも良いアイデアに昇華しました。

あと特に決めていなかったのですが、誰かがアイデアを話している時は、アイデアを聞いている他の人が付箋に書き留めるというスタイルがグループ内で確立されていたので、アイデア出しがストップしなかったというのも良かったと思います。

付箋にアイデアを書き出し、アイデアを組み合わせたりして、最終的にプレゼンシートにまとめました。

私がアイデア出しに苦戦した理由は、How(どのように)にこだわり過ぎたためだと思います。

Where(どこで)、What(何をする)、Why(理由)は今回変えられませんでしたが、HowだけでなくWhen(頻度)とWho(誰と)ももっと掘り下げることが出来たなと思いました。

最終的に私たちのグループでは「おでんRPG」という「月一でコンビニ店内を暗くし、目の見えない・聴覚が使える人と、耳が聞こえない・目が見える人をペアにして、お互いの足りていない部分を補っておでんを買うイベントを開催する」というアイデアに行き着きました。

確かによく考えたら「おでんを毎日食べたい」とは限らないし、ペルソナは「自分でやりたい」という気持ちはあるけど「誰かと一緒には嫌だ」と考えているとは限らないか、と思いました。

Howだけでなく、下のように5W1Hで整理してからアイデアを考えられたら良かったなと反省しました。

When(頻度)→?
Where (どこで) →コンビニで
Who (誰が・誰と)→目の見えない高校生が・?と
What (何をする) →コンビニおでんを買う
Why(理由)→自分でやりたいから
How(どのように)→?

グループごとに発表

テーマが「初詣」のグループでは、ペルソナを「病院で入院している患者」にし、VRで初詣を楽しんでもらうというアイデアを発表されていました。
VRにすることによって、海外にいる人も日本の初詣の様子が見れる、楽しめるという説明におぉっとなりました。

もうひとつのグループ、テーマが「クリスマスイルミネーション」のグループでは、ペルソナを「先天的に目が見えない高校生」(私のいたグループと同じ)にし、イルミネーションの場所で、聴覚で温かみが伝わるように松明をセットして「パチパチ」という音を楽しんでもらうというアイデアを発表されていました。
テーマとペルソナのかなり挑戦的な組み合わせに驚きましたが、ペルソナが楽しめるようにと工夫されているなぁと思いました。

片付け

テーブルに敷いてあった巨大シートから、カードを集めたり付箋を剥がしました。

これは余談ですが、コンビニでおでんを買う一連のタスクを書き出した付箋を剥がす時、最後のふせんを同じグループの方がなかなか剥がせず、私が「剥がしましょうか」と言ったのに手強くて剥がせず、他の方が「剥がしましょうか」と言って剥がしてもらうという、ダチョウ倶楽部の亜種みたいなやり取りが行われ、シュールでした。

ピザと雑談タイム

片付けが終わったらピザをいただきながら、同じグループの方と雑談しました。

今流行りの「言葉のない喫茶店」の話をしたり、ビジネスの話を聞いたり(正直ほとんど話の内容がわからなかった)。

ただ、この時間でもワークショップの時のように「気づき」がありました。

今回の気づきまとめ

最初からモノやサービスを作るよりも、体験するイベントの方が実現しやすい

ワークショップでの最終的な発表や、雑談の時に思ったことです。

体験型のイベントの方が、モノやサービスを作るよりもお金がかからない場合がある、だったら、問題を解決する時、まずは体験型のイベントで知ってもらう・納得してもらった後に、モノやサービス作りが上手くいくのではないかと思いました。
ここでは問題解決・改善の手段(How)を変更しているわけですが、Howの部分だけでなく、その他の5W1Hも変更出来たら、より良いアイデアが浮かんできそうです。

コミュニケーション下手の原因は、知識不足にもある

私は右側の耳が聞こえません。なので複数人と話す場合は、誰かの話を聞くことに集中してしまい、自分から話をするというのが苦手です。
結果、人数が増えるほど自分の意見を言うタイミングを見極めることが難しい、コミュニケーションが下手だと思うことが何度かありました。

しかし、今回のワークショップやその後の雑談で「確かに耳のこともあるけど、自分の知識不足(今回は主にビジネス面)も原因なのでは」と考えるようになりました。
むしろ、必要な知識の量が増えていけば、コミュニケーション時の聴覚障害による弊害をカバーできるのではないかと思いました。
毎日ニュースをチェックしたり、基礎的な時事・常識の本を読んではいますが、今後はもう少し深掘るというか、ひとつひとつの出来事を視るのではなく、他の出来事との繋がりはないか、影響はないかと注意しながらニュースなどをチェックしていこうと思いました。

最後に

今回のワークショップに参加したことで、多様な人々がいると知っていたけど、どんな人がいるのか・どんなことで困っているのかなど、自分はまだまだ具体的に把握出来ていないと思いました。
今回使用したカードを利用したり、積極的に今回のようなインクルーシブデザインのワークショップに参加して、多様な人を知りたいし、何に困っているのか・何を求めているのかも知りたいです。

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