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未明に見た夢

とある日の深夜、私は側道を歩いていた。
アパートから自宅へとつながる、とてもせまい側道。けれども、意外と利用する人は多い。
いつもの事務服にユニクロのロングコート。仕事へ行く格好そのものだった。
多分、自宅を出てどこかに行くのだと思う。雪も降っていない初冬の夜、ただ単に歩いていた。

何気なく、地面に目を向けてみる。
ニョロニョロとしたものが大量に散乱していた。ミミズである。
そしてそのすぐ隣―ニョロニョロとしたものは他にもあった。だがそれは虫ではない。尻尾だ。それを辿ってみると…なんとドブネズミが道路に大量発生していた!

大量のミミズとドブネズミ。
何が起きているか知らないが、私はこの道を通って県道を出なければならない。というかもう、ありえない光景が広がっているにも関わらず無関心でいる必要があった。気色悪かったけど、私には関係なかったのだ。

ミミズとネズミを避けながら側道を歩く私。
普段はスマホを持ち歩いているが、この時ばかりは手ぶらの状態。スマホどころか財布すら持ち歩いていなかった。
ネズミを刺激せずに避けて移動を始めたその一瞬―なんとネズミは私の足を伝って背中に潜りこんで来た!
小さいものがもぞもぞと歩く感覚。別の生き物が私の身体を道そのものとして使っていることが伝わった。見かけによらずずっしりとしている。小さな足は着実に私の背中を目掛けて行った。
その感覚は一回だけではなかった。一匹のネズミが背中を目指して歩き出すと、また一匹、また一匹…と、人間登山を始める。
私はとうとう無関心ではいられなくなって、歩みを止めてしまった。自宅は目と鼻の先の距離である。でも今は、ネズミが背中に止まっているという感覚に意識が行ってしまっていて、「戻る」という考えが全くといっていいほど浮かばなかった。

最初の一匹が背中の中心に辿り着いた時、するどいげっ歯で私の肉をついばんだ。輪唱するように、他のネズミたちもついばみ始めた。
痛さはあまり感じなかったが、気持ち悪さはピークに達していった。

自宅へ引き返すことも、悲鳴を上げることもできない。背中をネズミらに犯される感覚だけがそこにあった。
なんとか声を出そうと思った瞬間―

携帯のアラームが現実に引き戻してくれた。時刻は5時45分。一回目のアラームだった。
でも私は眠かったから二回目のアラーム時刻まで目を閉じることにした。

二度寝する私の背中には、ネズミたちの感覚が色濃く残っていた。

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