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遅れる月

ガッツリ遅れている。
理由はストレスだ。

月の満ち欠けは体調に影響することがあるという話を聞いたことがある。
「よく分からないけど、なんだか体調が悪い」というやつだ。

ピッタリ来ることはあまりない。
35日周期を軸とした場合、プラスマイナス2~7日のズレがある。
月が近くなればなるほど、私は訳もなく苛立ち、感傷に浸る。全ての感情がこれでもかというほど、敏感になる。
仕事をしている時なんかは、涙が出そうになる日もあった。優しくされると嬉し涙が出そうになる。
「優しくされる権利」がないとさえ思うのだ。

そして私は今、超絶敏感期である。
なにか言われようものなら泣きながら逆上する絶対の自信がある。
本来ならば、もう月は出て来ても良い頃なのに、今回は雲隠れをしている様子である。
月が出てくれないと、私の中のすすきは太陽に焦がされてしまう。
月の光を求めるすすきは飢餓状態。潤いが少しずつ失われ、それを求める弱き獣になるのだ。

あぁ、可愛そうに。
こんなに自分を傷つけて、一体何になると言うんだい?

―月が出ないと、私は生きられないのです。

どうして月は遅れるのか?
外部の敵が多すぎるから?
団子の製造にトラブルが生じたから?
すすきが伸びてくれないから?

私は早く、お月見がしたい。

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虹倉きり@note朗読
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