出会いは別れの始まり

前世とは本当にあるものなのか
心と身体は本当に一致しているのだろうか

とある占いのお店に一年に数回の頻度でおじゃましているのだが
今の所良くも悪くも当たったことがない

引越しのタイミングです
転職したらもっと運気が上がります
春が来たらあなたの運命の人も“きっと“訪れるでしょう

秋が来て冬が終わり，待っていた春の訪れは
新しい出会いでも運命の人でもなく，寂しさだけだった

幼い頃辛い別れを経験してから
いずれ別れが来るなら，親しい関係の人はいらない
そう想っていた
いつも“あの人“が心にいて恐ろしかった

“出会いは別れの始まりである“
新しい出会いなんていらない，“今“この瞬間がずっと続けばいいのに

お姉ちゃんは心優しく、周りを笑顔にする“向日葵“のような人だった
トラウマを理解しようとしてくれて，心から向き合ってくれた
『たとえあなたから大切な人が去ってしまっても，私はずっとここにいる』
この言葉が暗闇の中から引き上げてくれた

中学生になりバレー部に入部した
1年生ながらユニフォームをもらい，バレーボールに夢中だった
だが，心はもう一度深く傷つくことになる
トラウマの元凶である“あの人“と再会をしたのだ

『夢のような楽しい日々は長くは続かない，目を覚ませ』
と言われたようで，ずっと奥に隠れていた“心の闇“に深く刺さった

ひどく落ち、精神的なダメージも大きかった
トラウマと向き合った結果，
それは負を呼び，心は闇に覆われ疲れきってしまった
なんとか持ち堪えようと頑張っていたがとうとう身体にSOSサインが出てしまった
中学2年生：14歳の誕生日のすぐ後のことだった

“心の病“
今までトラウマから逃げ，自分の心と向き合ってこない間に
こんなにも心が干からびていたのだと
気づいた時にはもう遅く
小さなひびからボロボロと崩れていくのが分かった…

夢のような時間はあっという間に悪夢に変わり
大好きだったバレーはできなくなり，学校も休むようになった

誰にも会いたくない
もうこれ以上何も失いたくない

『いつになればこの恐怖から解放されるのか』
『もういっそのこと，終わりにすれば良いのではないか』

大好きなことも出来ない，大切な人も作れない
自分はなんて無力で必要のない存在なのだろうか

来る日も来る日も自分を責め続け
全てがどうでも良くなった

ああ，もう終わりにしようか

その時『体調どう？』外から声が聞こえた
ああ，もう夕方だ,

部員が来た
正直会いたくないし，来て欲しいとお願いしていない
『体調が悪いから』と外に行かない日もあった
それでも来てくれた

今日あったことを楽しそうにお話ししてくれる
その子たちの笑顔を見ていたら

大切にしたいな
そう思ったら涙が溢れてきて止まらなかった

距離をとっていても，心に壁を作っていても

それでも

あなたのままでいいよ
大好きだよ
一緒に話そうよって
言葉に託された愛が，優しく包み込んでくれた

ありがとう

大人になった今でも，トラウマは消えてはいない
それでも，心の闇から抜け出す方法を見つけることができた

子供時代は笑顔よりも涙の方が多かった
辛い悲しい，胸が張り裂ける想いをいくつも経験した
それでも受け入れてくれて，愛のある言葉をくれた大切な人たちが
そばにいてくれたおかげで
もう一度，夢に向かってスタートすることができた

もう終わりにしよう…
そう想ったあの日は

“終わりの日“ではなく
“始まりの日“になった

毎日会いにきてくれて，心から向き合ってくれて
毎日愛をくれて，迎えにきてくれて
ありがとう