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八百屋のつぶやき

近所にある商店街も店の生存率は半分に満たない。
一軒、昔ながらの八百屋がある。
丸くて青いカゴに盛られた野菜。
立て掛けの値札。

あの頃のまま生き残っている。

ふと山盛りのにんじんが100円で売っているのに気付き、足を止めてみた。

「にんじんお願い」
「はいよ」
御歳70歳はくだらないと見える大将が慣れた手付きで袋ににんじんを流し込む。

「こんなお店が減ったね」大将に話す。
「こんな大変な商売、誰もやらないよ」

聞くと、毎朝3時には起きて仕事を始めるらしい。子どもは別の仕事をしていて、継ぐことはないと言う。

まさに商売の「後継者問題」の現実そのものだった。
スーパーマーケットが普通になった時代の流れは止められないけど、意志を持って、やりたい仕事が続けられないのも切ない。

「もう自分でこの店は終わりだよ」と呟いた笑顔が何とも言えない寂しさを感じさせた。