衣食住
幼い頃に、かつて親父が食卓を囲んでいた時に好き嫌いを言うと「食べられない子もおるんや」と諌めてくれたのを覚えている。
親父自身が早めに母親を亡くして、極貧の幼少期を過ごしたと聞いていた。だからこそ食べ物のありがたみを伝えたかったのだろう。
街中に飢えた人が彷徨くような世の中にはまだなっていないが、100円玉数枚で数日を凌ぐような話はよく聞く。
自身もかつてはそんな経験もしたが、バイト代を競馬やパチンコにぶち込んだ結果だったから、自業自得なだけだった。
でも、もし真面目に働いただけでそんな状況ならキツい。
今はその話も珍しくない。
生きる意味とか幸せを感じるのは、自身の心の持ち様だろうとは思う。
でも、それは衣食住がある程度の水準にあってこそではないかと思っている。
衣食足りて礼節を知る…はごくごく普通の観念ではないか。
基本的な生活が足りない中で、心のありようまでどうにかできるほど、自身はできた人間ではない。