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竹中大工道具館で最後の宮大工西岡棟梁の言葉に触れる

新神戸駅から歩いて数分の場所に竹中大工道具館があります。
こちらは竹中工務店が作った大工道具を収集、保存することを目的にした博物館です。

私は現在木工会社さんと商品開発を進めていますが、木材加工のことをもっと知りたいと思い見学してきました。

緑豊かな場所に、大邸宅を思わせる立派な門があります。そこを抜けて敷地に入ると和風の瓦屋根の建物があります。前面はガラス張り、近代的な作りの中にも木造建築を思わせるような落ち着いた雰囲気のある魅力溢れる建物です。

館内に入ると広いホールとなっています。杉を組んだ船底天井がとてもきれいでした。
外からは平屋に見えましたが、ここは地下のある建物で、展示室などはホールから階段を下りた地下階にあります。

地下に下りると大工道具の世界が広がっています。
縄文時代から現代に至るまでの様々な大工道具、それらを使った木材の加工技術などが素人にもわかりやすく展示されています。
また唐招提寺金堂の柱の原寸大模型があり、釘を使わず木を組み上げる技術を解説ビデオと共に観ることができます。さらに中に入ることのできるスケルトンの茶室が展示されており、茶室が様々な部材で出来上がっていることが確認できます。

私が今回最も興味深く関心をもったのが、伝説の宮大工、西岡常一氏の言葉や道具・ノートが展示されているコーナーでした。

西岡氏は法隆寺棟梁として、法隆寺の解体修理の他、薬師寺、法輪寺などの再建も手がけ、飛鳥時代の建築方法に精通して最後の宮大工と呼ばれた方です。

西岡氏の言葉が肉声と共に展示されていましたが、その中で最も印象に残ったものをご紹介します。

山の中腹以上で強く育った木は構造材に、建物の柱や梁に使え。
谷ですくすくと育った木は造作材に、長押(なげし)や連子(れんじ)、建具になどに使え。
適した場所に用いれば木は長持ちする。

木の特性をよく見極め、適した場所に使うことが、その木を最大限に生かす方法だということです。
西岡氏は多くの宮大工や職人などを統括するリーダーでもありました。
木も人も地球から生まれた自然の産物。
おそらく木だけでなく、人材についても同じ考えで統率していたと思います。

適材適所。
組織を率いるリーダーは、一人一人の特性をよく見極める、その能力を磨かなくてはなりませんね。

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