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Free dom~氷点下の宴Ⅲ~

おっちゃんに乗せてもらって
矢板市の中心街まで進んだ
ここから宇都宮までは電車で30分
車で40分くらい
徒歩だと、、、、、想像もつかない
とにかく進むしかないよねってことで
また歩き出した。
非常食に持ってきた魚肉ソーセージを
かじりながらいくつもの坂を超えた
途中さくら市から宇都宮の手前まで
もう一度ヒッチをした。
開始五分で乗せてもらい20分くらい移動した
分かれ際、おばちゃんがセブンに寄って
2人分のカルビ弁当を買ってきてくれた
俺たちが驚いているとおばちゃんが言った
「空腹だと旅も楽しめないわよ、
 お礼はいいからしっかり食べて
 今日の宿まで歩きなさい」
ありがとうございますお釈迦様。
ありがたく食べさせていただきます
正直まじで空腹だった。
たかがコンビニ弁当
されどコンビニ弁当
コンビニ弁当で幸せを感じられる俺たちは
今世界で一番幸せ者かもしれない

夜6時再出発
この時期の夕方はもうすっかり真っ暗だ
暗闇に飲み込まれてしまいそうな
気がしてきて恐怖を紛らわすため
モンゴル800の「小さな恋の歌」を
2人で大熱唱しながら国道を歩く
5㎞ほど歩いて宿が見えてきた
この辺りはいつもの俺らの
通学路だ。いつもは気にもしない
ネオンの看板たちが心なしか
俺らを歓迎してくれてるような気がした
宿にチェックイン。
予約はしたのでスムーズ
しかし俺はここで一つ恥ずかしいミスをした
無一文で栃木県縦断中と書いた背看板を
つけたままフロントに行ってしまったのだ
思い出すだけでも恥ずかしい
だが、これが話のネタになり
フロントのおばちゃんと仲良くなれた
チェックインを済ませて
部屋に行こうとしたところ
おばちゃんに呼び止められ
「これは私からの個人的なお小遣い」って
500円玉をもらった。
初めて会ったホテルのフロントの人が
お小遣いくれたなんて話聞いたことあるか??
俺は驚いてピョンピョン跳ねながら
部屋に入った。部屋の内装の話は
しなくてもいいよな?なんて言ったって
一泊2000円の格安ホステル。
ある程度暖かくて寝ることさえできれば
それで十分だ。
部屋の中にトイレがないのを
除けば完璧な安宿
30分くらい休憩してから
温泉に行くことにした
都会の方ではスーパー銭湯というらしい
通常なら800円で入浴できるのだが
(それでも高いけどね)
俺は何をまちがったのか
6時間滞在プランの
2100円コースを選んでしまった
悔しくてこれでもかって位に
シャンプーを使い
延々と高麗人参風呂に使った
この旅が終わればまた貧乏生活の始まりだ
銭湯から出てホテルまで歩いて帰った
時刻は夜10時半。近くの居酒屋も
賑わい始めたころだ。
赤く光るちょうちんが
ぶら下がった店からおじちゃんの
カラオケが聞こえてくる
さすがに俺でも今日は疲れた
ベッドに倒れこむと
電気を消すのも忘れ深い眠りについた
2017年終了まであと1日

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