発達障害者で職歴がボロボロな人でもなんとか生き残る方法
前回の記事で発達障害の方は「革新的ー文化系軸」の企業がいいよというお話をした。そしてそのような企業に未経験で滑り込むためには戦略が必要という話をした。
今回は転職回数が30歳にして3回(直近の退職エピソードについてはこちら)、そのうち短期離職が2回と職歴ボロボロの僕がどうやって次の転職先を見つけたかについて比較的再現性のあるアクションプランを紹介したい。
職歴ボロボロな発達障害者なら革新的−文化系の風土を持つ企業を狙った方が良い理由
理由としては二つある。
①比較的職務経歴をあまり問わないこと企業が多いから。
②発達障害を持っている方であっても比較的働きやすい社風である場合が多いから。
それぞれ解説していく。
まず①だが、スタートアップ企業というのは一般的に採用力が非常に弱い。そのため、「外資コンサル出身」や「大手IT企業でAI開発していました!」なんていうキラキラした経歴の求職者を求めて選り好みはできないのが現状だ。
次に②だが、そう言った企業では比較的柔軟な働き方を行うことができるケースが多い。例えばリモートワークだったりとか、副業、フレックスタイムといったような制度が存在している。
これはもちろん社風にも寄ってくる部分だったりだとか経営者の方針というのもあるので、必ずしもそうとは限らない。しかし割合としては高いと言えるだろう。
革新的-文化系軸の企業を狙うことによるメリット
結論から言うと、転職時に使えるスキルを身につけやすい。
今 Webエンジニアの採用が追いついていないことは、プログラミングスクールがこれだけ伸びていることからも自明だろう。
他にもデジタルマーケティング職も今DMMがスクールを展開し出しているくらい人手が足りていない。ベンチャーだけでなく、大手企業でもデジタルトランスフォーメーション叫ばれて久しいと言ったこともある。革新的ー文化系軸の企業はそれらのスキルを身につけることが比較的できやすい企業だと思う。
実際僕も、これまでプログラミング言語はたまーに触る程度だったが、業務の中で否応なく、Pythonを用いたデータ分析や、GASを用いた業務自動化アプリケーションの開発など、様々な業務を経験させていただいている。
発達障害を持つ僕たちにとって一番大事なことは
「人間関係をこじらせたり、パワハラを受けたりして退職せざるを得なくなったとしても、食っていけるスキルを身につけていくこと」である。
そう考えると、短期離職をしてしまったり、転職回数が多い方こそ、今後の保険と言う意味でもこういった企業でスキルを身につけた方がいい。
問題は転職難易度
こういった企業はある程度自分で戦える人間を求めているケースが多いので、転職で難航することが多い。
エンジニアの方ならポートフォリオを持ってwantedly経由で応募すればどこかしら引っかかると思うが、そもそもエンジニアの方は、多少転職回数が多くてもスキルがあればなんとかなるだろう。
問題は、文系で特にスキルもない発達障害の皆さんである。
そこで、今回僕自身が実践したことを紹介する。
この方法は比較的再現性があるのではないかと考えている。と言うのもこの方法でなら、エージェント経由ではほとんど通過しなかった書類の通過率、そしてその後の選考通過率が圧倒的に高かったからだ。
(実績だけ言うと、マーケティング系のベンチャー2社、組織人事コンサルティングファーム1社から内定をいただいた)
潜り込むためのアクションプラン
PCスキルに自信がない場合はステップ0から、自信がある場合はステップ1からはじめよう。
ちなみにここで言う「自信がある」の程度だが、「外資系コンサル出身者の上司にスライドを見せて10分以上詰められないレベル」なので結構、と言うか半端なくハードルは高い。
基本的にはステップ0からはじめた方がいい。
ステップ0 エクセルとパワポのスキルを身に着けるために知識をインプットする
この方法を用いるに当たって、パワポのスキルがある程度必要だ。
ある程度とはどれくらいかと言う話だが、自分でスライド20枚くらいの資料を独力で作ることができる程度だ。
こう聞くと人によってはかなり高い壁に感じるが、今は、ネットなどそれぞれの方法について詳細に説明したサイトや書籍もたくさんある。
具体的に紹介するとこの辺を読んで実際に手を動かしてみるといいだろう。
・テクニック:森秀明「外資コンサルの資料作成術」
・考え方:細谷功「地頭力を鍛える」
特に細谷さんの「地頭力を鍛える」は、論理的思考力を鍛えるきっかけになるのぜ是非読んでもらいたい。
(ちなみにこれらの本に書かれていることをしっかり習得し、ついでにエクセルVBAがすらすら書けるレベルになれば、一般的な企業の中ではドキュメンテーション能力に関しては圧倒的に上位層に食い込める。今の職場で活躍できないと悩んでいる人はこれらを学ぶことによって、離職する必要がなくなるケースがあるかもしれない。それならそれで構わない。この記事を書いた甲斐があったと言うものだ。)
ステップ1 自分のこれまでのキャリアや離職理由、今後の展望について説明したスライドを作成する
先ほどの書籍が読めたら、スライドを作成しよう。論理展開としては以下のようなフレームワークで作成すると楽だ。
(実際に自分が作ったスライドをお見せしても良いのだが、陳腐化してこの戦略の再現性がなくなるのでいろいろ検討中)
1 新卒時の企業選びの軸(キャリアプラン含む)と1社目を選択した理由
2 就職後に発生した現実と理想のギャップ
3 ギャップを埋める手段として転職先を選んだ背景
4 転職先で実現したことと一方で発生した課題
5 課題に対し自分でコントロールできることとできなかったこと
6 コントロールできない課題を解決するために転職を選んだ
7 今後のキャリア展望
なお、3から6に関しては転職回数に応じて繰り返しとなる。
ちなみに、資料の作り方に関してより細かい内容は、また記事にしようと思う。
ステップ2 wantedlyに登録する
次にwantedlyに登録する。wantedlyがなんなのかについてはそれくらい自身で調べて欲しい。
厳しい言い方だが、「自分で調べる」と言うことができなければ残念ながらスキルを身に着けることはできない。
エクセルにせよ、パワポにせよ、プログラミングにせよ、自分で調べることが上達には必須だ。
ステップ3 プロフィール欄にスライドを添付する
登録したら次に行うのはご自身のプロフィール設定だ。プロフィールの設定添付ファイルという項目がある。その項目に自分が作ったスライドを添付して欲しい。
自己紹介のところには自由記述欄もあるがそこには自分の得意なこと苦手なことを書いておこう。特に発達障害者の僕たちはできないことが多いので、苦手なことである程度書いておいた方がいい。(なお、これヤバイかな?って判断に迷ったら他人に読んでもらおう)
ここで絶対に書いておいて欲しいのは「 PowerPoint を使った資料作成が得意です。転職理由に関してまとめた PowerPoint を添付しておきましたので興味のある方はそちらをご確認ください」と言う文言だ。
ステップ4 応募する
狙い目としてはマーケティング関連のサービスを提供している企業がいいだろう。特に、WEBマーケターやデータ・アナリストなどの文言があれば特におすすめだ。とりあえず気軽に応募してみよう。
そうすると多少職歴が荒れているにも関わらず、人事の担当者から話を聞きたいと連絡がくることに驚くだろう。
なぜこの方法が良いのか
理由は二つだ。
①マーケターやデータアナリストの仕事はパワーポイントを使う業務が非常に多い。クライアントに対してのレポート作成など、資料作成を求められる場面が多い。
②実際にアウトプットを見せることで採用担当は安心感を覚える。採用とはギャンブルだ。どんなにいい学歴や経歴があったとしても、実際に働いてみたら全然使えないなんていうことはよくある。そんな中で「自分はかなり上手なパワポの資料作れますよ」という証拠をを見せることは非常に刺さる。
注意点
僕はこの方法はある程度再現性があると思うが、もしかしたら僕の中に、僕が認識していない説明変数(学歴とか年齢とか)があって、このような結果になったのかもしれない。
ただ、少なくともエージェントを通して転職活動をするよりも確度は高いのは明らかだ。
エージェントだと書類通過率が0%だったが、この方法なら40%くらいは書類通過しているのだから。
まとめ
・経歴があまり良くない発達障害者はIT系のベンチャーがおすすめ。
・なぜなら比較的風土が合っており、今後市場価値が上がるスキルを身につけやすいから。
・ただし入社は経歴でなく実力主義
・そのため、アウトプットを選考時に見せた方がいい
・特にスキルのない発達障害者の方の場合、PPTを使った資料作成のスキルは比較的教育コストも低く、アウトプットを出しやすい(資料作成に関してはまた記事を書く)
・wantedlyを使って自由応募してみよう
・そしたら案外すんなり内定もらえる(ちなみに面接の時の話とかは需要がありそうなら書く)
まずやっていただきたいこととしては、自分自身の資料作成のスキルを高めることからはじめて欲しい。
この記事を読んでいる方は少し切羽詰まっている不器用だけど、集中力はハマったら強い方だと思っている。
だから、これくらいの勉強は複雑な人間関係で生きていくことに比べれば分けないことだ。
作った資料のフィードバックに関しては僕のTwitterにDMをいただければ対応したい。(多分細かいし、小姑のようだと思われるかもしれないが)
追記
資料の作り方に関してはいかにまとめた記事を作成しているので参考にどうぞ。