少し前に読んだ本
佐伯泰英
たそがれ歌麿 新・古着屋総兵衛 第九巻
総兵衛は大目付本庄義親邸で喜多川歌麿なる稀代の浮世絵師と出会い、その絵と人物に不思議な魅力を感じさせられた。一方、私財を投じて掛け替えることとなった橋普請が進む中、強大な野分によって江戸の町は大打撃を受ける。折しも復旧に奔走する総兵衛の元に、歌麿が極秘裏に徳川政権の禁令に触れる絵を描いているという報がもたらされた。総兵衛は手を尽くして歌麿を追うのだが。
異国の影 新・古着屋総兵衛 第十巻
新栄橋完成に沸く大黒屋に、深浦の船隠しを監視する眼を報告してきたのはおこも姿の忠吉だった。監視小屋には、オロシャと思われる文字が記された絵図面、貨幣等が残されていた。多くの証拠を残したことに総兵衛は疑念を募らせる。一方、幕府鉄砲玉薬奉行配下が大黒屋周辺を嗅ぎ回る。正介の秘密に感づいたのか。折から信一郎率いる交易船団が一年弱の航海を終え戻ってきたが……。
八州探訪 新・古着屋総兵衛 第十一巻
文化二年の元日。年賀の挨拶で賑わう大黒屋の目下の話題は、信一郎とおりんの祝言の話と次の船団長の人選であった。そんな中、年賀客から武州・上州など関八州の田畑の荒廃と無宿者の増加という情報がもたらされ、重ねて「影」からは「八州探査」の指令が下った。天松、忠吉を供に上州高崎に入った総兵衛は、早速賭場に潜入する。盆茣蓙の奥には異彩を放つ異人の用心棒がいた……。