最近読んだ本
上田秀人
日雇い浪人生活録(六) 金の裏表
両替商・分銅屋仁左衛門の命を守り、右胸を負傷した用心棒・諫山左馬介。
彼が傷の回復に専念していた頃──南町奉行所定町廻り同心・佐藤猪之助は、
南町奉行の山田肥後守より、命令に反し分銅屋の周辺を調べ続けていることを咎められていた。
一方、お側御用取次田沼意次による財政改革を阻もうとする目付たちは、
田沼のさらなる出世を妨げるための次の一手に頭を悩ませていた。
金の世へ移行するために賄賂を奨励する田沼、金の動きに敏い分銅屋、
落ち着いた暮らしを夢見る浪人・左馬介……
時代を動かそうとする男たちから目が離せない
日雇い浪人生活録(七) 金の記憶
亡き八代将軍吉宗より田沼意次の行う幕府の財政改革を手助けするよう命を受けた隠密のひとりで、
ふだんは芸者姿に身をやつす村垣伊勢。村垣は、両替商分銅屋の用心棒である諫山左馬介を、
その鉄扇術から、ただの浪人ではないと疑いだした。
一方、改革を推し進める意次の動きを探ろうとする者たちに対し分銅屋が仕掛けた策には、
次々と獲物がかかり始める。
武家の駆け引き、野心を抱く商人の台頭──江戸の世はどう動くのか。
日雇い浪人生活録(八) 金の悪夢
広く金の価値を知らしめるべく、あえて賄賂を推奨する田沼意次。
目通りを願う列は、日に日に延びていく。そんななか、両替商分銅屋の用心棒・諫山左馬介は、煩悶していた。
一度はもみ消したはずの御家人殺しを執拗に嗅ぎまわる元南町奉行所同心・佐藤猪之助に業を煮やし、
自らの所業と認めてしまったことへの自責である。
明らかに意次の改革の障りとなる行為に、雇い主の分銅屋仁左衛門は、左馬介を咎めながらも隠蔽に努める。
一方、左馬介の鉄扇術からその出自を疑った武士は、財政の逼迫する会津松平家の重臣で──
物語が大きく動き出す