最近読んだ本
佐伯泰英
完本 密命 巻之十七 初心 闇参籠
若狭小浜城下から敦賀へと向かう若狭路。道中、騎馬軍団海天狗の乱暴狼藉を目の当たりにした金杉清之助は、南蛮兜の首領を船上の決闘で討ち果たした後、鯖江城下から永平寺へと足を運ぶ。武者修行に出て三年と四月。「血と怨念に穢れた身を浄め、初心に戻りたくなるときがございます」と申し出た若武者は、食を断ち、暗黒の岩穴に篭もる「三十三日闇参籠」に挑む。
完本 密命 巻之十八 遺髪 加賀の変
百万石の禄高をもつ加賀金沢藩。その栄華も今は昔、きびしい財政難に喘いでいた。金沢城下を訪れた清之助の前にも、金で雇われた刺客・関左兵衛が現われる。いったい誰の差し金なのか?
斬り合いを制した清之助は、関の遺言に従い、十両を菩提寺に届けるべく、一路高岡を目指すのだが……。
完本 密命 巻之十九 意地 具足武者の怪
酒が朝に残り、大小を重く感じるようになったことで金杉惣三郎は自身の老いを実感していた。そんな折、具足武者が惣三郎を襲う。辛くも倒したものの、振り返ると具足武者の姿はない。
具足武者に惣三郎暗殺を命じたのは、吉宗の勘気を蒙り、家紋断絶の上切腹した石河讃岐守常泰だった。その裏には、戦国の世が遠くに去り、かたちばかりになった武芸の闇が隠されていた。武芸の衰退を憂える吉宗は、清之助の名を挙げ、再び上覧剣術大試合を開催せよと老中水野忠之に命じる。