冬の扉を閉める
今日から2月。冬の土用も今日を含めてあと3日。3日に節分、そして4日には立春を迎え、春がやって来る。
毎年、晩冬にさしかかると足の指先にポツポツ赤みがさして来て、しもやけを発見してしまう。今年こそは克服しようとゆっくりお風呂に浸かったり、お灸をしたりと工夫してみたけれど、やっぱりできてしまった。もう冬の風物詩と化した、しもやけ。不思議なことに立春を過ぎると、まただんだんと姿を消していく。
春夏秋冬、それぞれの季節に与えられた「土用」は約18日間×四つの季節=約72日。一年365日の内、約72日は季節と季節をつなぐ調整の期間に当てられている。72°はアスペクトでいうとクインタイル。創造性や芸術性と結び付けられるクインタイルと土用が重なる。新しいプロジェクトの計画や下拵えも土用に与えられたテーマでもある。また、72°は360°を5分割した数字でもある。5も遊び心を表す数字。土用には「日々の暮らしに創造性を持ち込み、楽しむ工夫を試みる」というメッセージが秘められているのかもしれない。
この土用が一年を巡るリズムの要になっているな〜と実感するようになったのはパンデミックで旅から遠ざかって奈良に住まうようになってからだ。ずっとあちこちを飛び回り、駆け抜けていた時期には見えなかったものがよく見えるようになった。草木の変化や鳥たちの声で新しい季節の訪れを知ること、衣食住のあり方が自分の心と身体と言葉を作っていること。仕事と暮らし、女性性と男性性のバランスも以前より整ってきた感じがする。
今年は冬の土用、大寒当日に味噌作りをした。一年分の味噌を仕込む。大豆やお塩、麹を含めると5kgほど。これで自分が食べる分とお裾分けする分を賄える。去年仕込んだ分は甕から白い琺瑯のポットに移しておく。
長年寒いのが苦手だったけれど、ここ数年の奈良での生活で冬ともだいぶ仲良くなってきた。それは人生がまさに秋の終わりにさしかかって、これからやって来る冬に備えているかのようでもある。そろそろ土星期も視野に入って来た。
1月はあっという間に過ぎていった。冥王星が水瓶座に引っ越すタイミングだったのもあってリーディングでお預かりするご相談にも「死と再生」を巡るお話が多かった。大切な人との別れや看取り、その後にやって来る再生の時間。見えない地中で春が少しずつ始まっていくように、心にもゆっくり春がやって来るはず。
こういうときに寄り添うという言葉では伝わらない感じをどう表現したらいいのか。近づき過ぎず遠からず、星たちと一緒にそっと見守る。そんなことしか自分にはできない。日々、星を読んでいると人間にできることの限界を知る。だからこそ、自分にできることはめいっぱい頑張りたい。
占星学や暦の世界との出会いは自分の人生を本当に豊かにしてくれた。星をとおして、たくさんのご縁をいただいて来たことはもちろん、星は自分や他者への理解を深め愛することを、暦は季節を愛で萌しを読む力を養ってくれた。そのおかげでこうして今がある。
今年は宇宙に恩返しじゃないけれど、これまでの経験や自分に与えられてきた智慧を未来に向けてリレーしていくことができたらいいな。
今週末4日・立春は地球暦オフィシャルリリースツアー 2024を開催します。近江神宮で皆さまのお越しをお待ちしております。