パパがしぬまで後70日


 人と違うっていうのは、
結構なストレス。

例えば、ランドセル。

金色のランドセルを使ってと言われたら、
どうする?

うれしい?

使ってみる?

嫌だよね。

男の子はみんな黒。

女の子は赤とピンクが多いね。
   

ランドセルカタログを見ると、
「ゴールド」とか「シルバー」のランドセルがあった。


  でもそんなランドセルを背負っている小学生、

パパはまだ見たことがない。

買う人は本当に少ないだろうね。
  
ほんのちょっとゴールドのラインが入っているだけならいいんだけどさ。

全部ゴールド、全部シルバーだからね。
  
  人と違うことはストレスになるから、
みんな避けるんだ。

  でも、人と違うことが悪いと言うわけじゃあないんだよ。
  
 むしろ人と違うことが、とても大事だったりする。
  
 例えば乙(おと)武(たけ)洋匡(ひろただ)さん。

この人は手足がない状態で生まれてきた。

 
彼が大学生の時に書いた「五体不満足」という本。

とてもたくさん売れて、
多くの人の幸せに貢献したんだよ。

五体満足で生まれる人がほとんどだけれど、

彼はそうじゃなかった。


 その本にはとても大事なことが書いてあって、
多くの人が勇気をもらって、
元気づけられた。

 彼はとても素晴らしい人だった。

でもその素晴らしい彼を育てた両親は、
本当に素晴らしかった。

彼が生まれた時に、
「かわいい」と言ったんだ。

でも、きっと自分では何もできないだろうと覚悟していた。
何しろ手足がないんだから。

寝返りもできないし、
もちろん歩くこともできない。

スプーンもフォークも持てない。

着替えなんて、絶対に無理。
そう覚悟していた。

でも、乙武さんは全部ひとりでできてしまったんだ。

彼が何かできるようになるたび、
ご両親は心から大喜びした。

彼はたくさんほめてもらった。
お母さん、お父さんの喜ぶところが見たい。

ほめてもらいたい、喜んでもらいたい。
だから何にでもチャレンジして、
色んな事ができるようになっていった。

もし普通の体で生まれていたら、
当たり前に寝返りもするし、当たり前に歩くようになる。

ご両親はそれを当たり前に感じるから、
大喜びしなかったかもしれない。
そんなに子供をほめなかったかもしれない。


彼は何にでもチャレンジする人に育たなかったかもしれない。

彼がみんなと違ったからこそ、
彼はみんなから素晴らしい人と言われ、
尊敬されるようになった。

スキャンダルもあったけれど、
パパは今でも乙武さんのことを素晴らしい人だと思っている。

 人と違うこと。
その違う点が、
人よりも優れているところであれば、
別に問題はないことが多い。
 
人と違うこと。

その違う点が、ハンディとなるようなことだったとしても、
それが必ずしも問題になるというわけではない。

むしろ必要なことだったりする。
  
 優れているところであれば、
大いに喜べばいい。


 ハンディとなる場合であっても、
喜ばしいことにつながることがある。

ハンディが素晴らしいことにつながった例はたくさんある。

ベルという人のお母さんは、
耳が聞こえなかった。

ゆえにベルは「音声」というものに人一倍こだわりがあって、
興味があった。

この人は後に電話を発明することになる。

人と違うこと。
それはとても、とても、とても、
素晴らしいことである。


今日はそんなお話。

 パパも、ちょっと人と違っている。

 だから、こうして本を書いてたりするのかもね。


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