掌編小説【昇天】♯毎週ショートショートnote
お題「アルプス笑点かい?」
【昇天】(410文字)
死ぬつもりで入ったのにいつの間にか随分高い所にいるような気がして途方に暮れたがそもそも途方に暮れたから死のうとしたのであってあらためて途方に暮れるのも変なものだ。
ふと前を見ると『アルプス』と書いた立て札がある。という事はここはアルプス山脈?富士裾野の樹海からどこをどう迷ってアルプスへ?再び途方に暮れそうになったがそもそも途方に暮れたから…以下略。
「おまえはもう死んでいる」
大昔に読んだ漫画のようなセリフが聞こえて私は立ち止まる。前には大きな羽が生えた人が。あ、天使。
「天国の門をくぐりたければ私を笑わせなさい」
「どうしてですか」
「ひまだからです」
アルプス笑点かい?
とはいえ私は願い通り死ねた事に安心してなんとかネタをひねり出そうとした。しかしギャグのセンスは乏しい…。
「笑点で昇天…」
「座布団一枚!」
天界の人は笑いの沸点が低いというのは『聖☆おにいさん』に描かれていた通りだった。私は天使の笑顔に見送られて無事昇天した。
おわり
(2023/3/4 作)
『たらはかに』様の2/26~3/5のイベントに参加させていただきました☆
今回は激ムズの裏お題に挑戦しました…(;・∀・)こんなんでいいんかに?
『聖☆おにいさん』は漫画作品です。平和な心持になれて大好きですー。
いいなと思ったら応援しよう!
おもしろい!と思っていただける記事があれば、サポートはありがたく受け取らせていただきます。創作活動のための心の糧とさせていただきます☆