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SS【神さまの仕事】#青ブラ文学部
山根あきらさんの青ブラ文学部『橋』に参加させていただきます。
【神さまの仕事】(948文字)
「キューピットはいいよね、矢を放てばいいだけだもん」
「見た目も可愛いし」
「それに比べて僕らって…」
二人は顔を見合わせました。
彼らは小さな星のちいさな神さまでした。
彼らの星はまだ新しくて、神さま自身の造作もまだラフ原画みたいな感じです。例えれば、幼い子が描いたミッフィーみたいな。(可愛いと言えなくもないですけどね)
そして自分たちがすべき仕事の要領もつかみきれていないので、他の星の神さまの仕事ぶりを参考にすることもありました。
でも、どれも難しいのです。
「キューピット方式は高度だよねぇ…」
「矢の仕組みがわかんないよね」
「当たると好きになるって、どうゆうこと?」
「僕たち、どうしようか」
「橋をかけるのはどう?」
彼らの神さまとしての任務は、小さな星に生きる小さき者たちを『つなぐ』ことだったので、橋には大いに興味をもっていました。
橋をかけることができれば、そこに出会いと愛が生まれるのでは?
愛が生まれれば子どもも必然的に。
子どもが生まれないと新しい星も発展しませんからね。
神さまの任務は重大でした。
「橋の仕組みはわかりやすいものね」
「あれなら、僕らでも作れるんじゃない?」
彼らは早速取りかかりました。
ゆるミッフィーみたいなからだをヨタヨタと動かして、彼らはせっせと橋をかけました。
しばらくすると、小さな星のあちこちにちいさな橋がかかりました。
すると、神さまたちのねらい通り、そこで小さな者たちが出会うようになりました。
橋の前では自然に足を止め、言葉を交わしたくなるのです。
なぜなら、その橋はひとこと言わずにはいられない橋だったからです。
「この橋を渡るのは無理よね。絶対壊れそうだもの…」
結果的に、小さき者たちは力を合わせ、自分たちで丈夫な橋をかけました。
その共同作業の中で出会いと愛も生まれ、子どもたちもたくさん生まれました。
その様子を神さまたちは見ていました。
「……こういうの、結果オーライって言うらしいよ」
「…僕ら、いい仕事したってことだね」
「そうだよ、きっと」
ゆるミッフィーみたいな神さまたちは、その後もその姿のままでしたし、あまり神さまらしい働きもできませんでした。
でもなぜか、その星の小さな者たちからはとっても愛されたのでした。
「うちらの神さまは子どもみたいなものだから、助けてあげなきゃね」
おわり
(2024/1/26 作)
……神さまだって、助けてもらったらうれしいかもしれませんよねー。
あ、『橋』というテーマの山根さんの趣旨に合ってるかどうかは自信がありません…。
頭の中が、ゆるミッフィーみたいなものなので…。
(;・∀・)
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