30歳夏、臓器をいっこ取った話。(2)
手術を終えた私は術後ハイの真っ只中にいて、右卵巣を摘出したと聞いても特に喪失感はなかった。
世の中にはもっと辛い思いをしている人がいるのだから、右の卵巣がなくなったくらいでくよくよしてはいけない、とどこか無理していたのかもしれない。
けれど前向きだった気持ちは、LINEでの夫の一言で簡単にぽきりと折れてしまう。
「(お医者さんから病状と手術の説明を受けているときに)本当に痛かっただろうなと思った。ひかりは何も悪い事してないのに、ってずっと思ってた。」
確かに、私なんにも悪