直近の元彼

あ、これはもう別れる寸前だ。
多分恋をする誰もが経験したことのある瞬間だろうし、割と私にはよくある。

スタバに一緒に行くのを拒否されたり、
会うのを先延ばしにされたり、
デートのはずが相手の先輩も一緒だったり、
手を繋ぐのを拒否されたりする。

ちなみにこれは割と直近の元彼の話。

最後のまともなデートはいつだったであろうか。
多分、三軒茶屋が最後だ。

浅草線沿いに住んでる彼が、田園都市線に来ることは滅多にないそうだ。そしておしゃれなカフェはそもそも入らないらしい。
じゃあなんで来たかって言うと、私が誘ったからである。しかも、カフェチケットがあるという理由で。

そもそも今考えれば、金がかからないデートなら行っても構わないくらいの気持ちだったと思う。

久しぶりに会った彼と古民家風のカフェに入って、近況報告をした。近況報告をしただけで終わった。
もっと連絡が欲しいみたいなことは言ったけど、流された気がする。

そもそも彼とは友達だったので、近況報告をする程度なら、比較的盛り上がった。
帰りは渋谷まで歩こうと言って、また適当な話をしながらぷらぷら歩いた。

久しぶりに手を繋ごうと言ったら、手汗をかいてるから無理と断られた。ちょっと待て、まだ2月だ。

スタバで桜のフラペチーノを飲むくらいは付き合ってくれてもいいんじゃないかと思ったけど、彼は私とお茶をする気はなかったのだろう。久しぶりの再会はあっけなく終わった。

渋谷のスクランブルのスタバは混み合っていて入る気になれず、池袋のルミネでひとりで桜のフラペチーノを飲んだ。正直、去年のほうが美味しかったなあなんて思いながら。

そこから1ヶ月ほどして、私達は正式に別れた。
別れそうだと思ってたので、そんなに驚きはなかった、、、はずだった。

別れよう!笑

そんなLINEを真昼間の電車の中で受け取った。

私は真顔だったと思う。
いくら元々は友達とは言え、気安すぎるだろう。
普通の会話で「笑」と付ける男性はありえないというツイートをよく目にするけど、別れ話で「笑」を付けられる女はあまりいないと思う。私だ。

基本的に別れは悲しいものだけど、
その時の私は殊更に悲しんでいた。
イケメンに振られるのは理解できるけど、(言葉を選ばずに言うと)不細工に振られるのは理解ができなかった。別れるのはわかってたのに、振られるとは思っていなかった。

なんでそんな男と付き合ったかという疑問は華麗にスルーさせていただきたい。私も何か疲れていたのだろう。

私の好きは相手の外見に左右される。顔面至上主義と言っても過言ではない。(元々は自分のコンプレックスから来ている)
彼のことは顔ではなく性格が好きだと思っていた。

でも「笑」を付けて別れ話をしてくるような男は、そもそも性格が良いとは言えない。センスもないし、また選択を誤ったことを反省した。

外見とか頭の良さとかスペックの釣り合いが取れた男女がカップルになると感覚的に思っていた。自分に魅力のないことを恥ずかしく思ったし、友達としてはありだけど付き合ったら違うというパターンは初めてだったので、ああやっぱり私の性格が好きな人じゃないと続かないんだなあと初めて実感した。

振られた身でありながら、
彼には幻滅して、私の恋心は土に還った。

残ったのは、荷物と執着の残渣である。

別れてから3週間くらい経って、
荷物の受け取りを理由に、浅草線の何度もきた居酒屋で再会した。受け取るだけでいいやと思っていたけど、私を飲みに誘った彼は多分悪いやつで終わりたくなかったんだと思う。

彼は別れた理由を、
俺には優しすぎた、いい子すぎた、と表現していたけど、それはつまり、ただのいい子で終わったということだろう。それ以上深入りしたくないタイプのいい子。いい子だけど面倒くさい。優しさが重い。オブラートで包まれた言葉を私はグアバハイで流し込んだ。

もうあと5年くらいは彼女とかいいやと言ってたけど、

私は知っている、別れた3ヶ月後に彼女が出来て、ついこの間破局したことを。
やっぱり男女の別れ際には嘘がつきものである。

JRの改札でまたねと言って解散した。
また、の機会は未だに来ていない。


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