早春の使者
謝肉祭の忙しさも一段落した日曜日、
まだ日が昇りきらない早朝に
お散歩をしに外へ出ました。
住宅街の間の小道を抜け、
朝靄のかかる広い畑へ突き当たると、
大きな木の下に、
お花の絨毯が出来ていました。
感動に心躍りましたが、
まだ朝が早すぎて
お花たちはまだおネムなご様子。
花弁をしっかり閉じています。
そこでお日様が空の真上に来た頃に、
もう一度同じ場所を見に行ってみると…。
お花たちは皆揃って空に向かい
満面の笑顔を見せるように咲いていました。
紫のお花と白いお花は、
どちらもキラキラ輝き
それはそれは可愛く美しくて、
しばし時間を忘れ
見惚れてしまいました。
あとで調べると、
紫のお花はクロッカス、
白のお花はユキマチソウ。
ユキマチソウは
ドイツ語でSchneeglöckchen 、
直訳すると「雪の小さな鐘」。
一番最初にやってくる
"早春の使者"
だそうです。
実際に
ドイツに住むようになってから、
雪の隙間にこの子達を見つけると
なんだか嬉しくて足が止まり、
あ、春が来る…
と思えるようになりました。
クリスマス、謝肉祭…と、
私たちが時間を忘れて
バタバタしている間にも、
春の使者の蕾たちは
土の下で
ずっとこの瞬間を待っていたのですね。
なんと力強く、
そして儚いのでしょう。
今年も、
巡る季節を訓えてくれて有り難う。
短く美しいドイツの春を
心に刻みます。