「まだ生まれていない赤ちゃん」を抱える女子学生へ
なぜ女性のリーダーは少ないのかー
FacebookのCOOシェリル・サンドバーグ氏はそんな問いを投げかけた。
彼女の書籍『リーン・イン』で彼女は女性とキャリア追究の障壁について、女性の内面的な課題に絡めて解説する。
何か失敗した時、男性は周りの環境のせいにするが、女性は自分の能力が足りないせいだと考える。
女性はキャリアで成功しても、家庭をないがしろにしていると罪悪感を抱く。
女性は自分の成功を周りの環境のおかげ、幸運のおかげで自分の能力ではないと考える。
女性は野心を汚らわしいものだと感じる。
このような傾向が広くみられ、同じレベルの能力をもっていても、男性と女性では自信や自己肯定感が大きくかけ離れているという。
先日上野千鶴子氏が東大の女子学生に向けて行ったスピーチも大変話題になった。
東大であることは男子生徒にとって大変有利であるのに、女子生徒は敬遠されることを避けるため東大生であることを隠すという話だ。
また男子学生の率が高いのも、男子の方が野心的に最高峰の大学を目指す状況を応援されやすいからと彼女は考察する。
このような状況は東大などの最高峰の大学や、医学部などの環境でも広くみられる傾向のようだ。
男子医学部生の生涯結婚率は95%を超えるというデータもあるのに対し、女子医学部生は結婚できない人が1/3、結婚しても半分は離婚するといわれる。
女子医学部生が結婚を維持できるのは3分の1、という通称「3分の1の法則」なるものがまことしやかに語られているらしい。
それに女医は出産、育児の退職率が高く、「生産性が低い」という理由で入試差別もまかり通っていたことまで明らかになった。
このような状況をすべてしょうがない、と受け入れてよいのだろうか。
日本の管理職の女性の割合は、先進国で最低レベルだ。
医学部の学生もヨーロッパ諸国では5割ほど女子なのが当たり前であるのに日本ではせいぜい3割といったところか。
また、女性は将来持つかもしれない家庭を想定して、就職活動を行う傾向が強いという。
まだ結婚もしていない女性が、「見えない赤ちゃん」を抱いているのだ。
環境が変われば自体はもちろん好転するだろう。
しかしそれには莫大な時間がかかる。
さらに日本はことさら社会的コンセンサスの変化に時間のかかる国だ。
私たちにできることは、まず自分が変わることだ。
女性が自分の能力を低く見積もりがちな傾向を理解し、一歩踏み出してみよう。
キャリアを追究し、自分のやりたい社会貢献にまい進するのは、決して「ワーク・ライフ・バランス」から逸脱する行為ではない。
仕事と家庭が対立するという考えは、私たちのあきらめがつくようにする幻想にすぎない。
「幸せな結婚 vs 仕事」
こんな記事を雑誌で見つけた。
やりたい仕事をあきらめるのが幸せな結婚なのか。
そんな疑問がわいた。
パートナーときちんと向き合い、家庭と仕事どちらとも向き合うのが、幸せな結婚ではないのか。
私たちの固定観念はまだまだ根深い。
働く女性が一筋の野心を抱く勇気を持てば、
働く女性の周囲の人が社会の変化を受けいれる勇気を持てば、
私たちはこの時代を一歩前進させられる。