【SKCファン小説】僕は歌って行く
「行くぞ、みんなぁ!」
少年は拳を振り上げて叫び、直後、帆が力強く何かを受けて、彼だけを乗せた小さな帆船が動き出す。無風の中で力強く張っている帆は、まるで胸を張るようだった。
彼の白いシャツが太陽を浴びて燦々と輝く。海原の中にぽつねんと浮かぶその背中が、徐々に小さくなっていった。
翌日は大時化だった。狂喜乱舞に殴りつける雨と風は帆船を破壊しそうなほどで、束縛的な怒涛が立ち上がることを許さない。痛くて、寒くて、それでも少年は懸命に堪えていた。
天気は更に荒々しくなる