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『ホッピーくらいがちょうどいい』

自分はすごいんだと考えるひとよりも、自分なんて…と考えるひとの方が多いだろう、僕もそのひとりに違いない。

自分にすごく自信があって、「いつだってどこだって、何をしていてもひとりで楽しいんだ」と言えるひとは、それで完成しているんだな。オムライスにカレーをかけて食べたり、ラーメンにステーキを入れて食べたりしないのと同じように、オムライス、カレー、ラーメン、ステーキ、と単品ですっかり満足できるのと同じなんだと思う。そういうひと(単品で満足しているひと)っているにはいるけど、少ない。
僕達は「ホッピーくらいがちょうどいい」んだと思うんだ。

というのはね。
ホッピーは、焼酎にホッピーを入れて完成するでしょう?
自分はホッピーで、友達は焼酎。自分が引き立て役になってちょうどいい。自分もお酒が混じってちょうどいい。そうやっていると、なんだかお互いに楽しい。

こういう「ご自分で調節してください」という呑み物はなかなかない。お店で頼む時も自分の家で呑む時も、ちょっとだけ自分好みに変えられる。不親切なようで、融通が利いていて、全部が全部、なんかちょうどいいのだよ。

「自分なんて…」と口には出さなくとも、頭の片隅に少しだけそういう気持ちを置いておくと、それに気付いてくれる。逆に自分は友人のそういう気持ちに気付いてあげようとする、そんな理想的な関係を誰もが望んでいるはずだ。

自分は足りなくていい。
ちょっとデキないくらいでいい。
頼りない。
寸足らず。
抜けている。

どこの居酒屋に行ってもホッピーをホッピーだけで呑んでるひとは見当たらない。お酒をちょっと混ぜて、もしくはたくさん混ぜて、薄めながら呑んだりお酒が濃いまま呑んだりとバリエーションは様々。そうやってたくさんのホッピーと同じように、僕らは支え合って、ちょうどよく生きている。

なんでもやろうとか、いちにんまえになって、すんごい仕事ができなくったって生きていけるんだよね。

仲間意識をちょっと考える。これからの僕は。

「寒くなる」については、また今度考えよう。

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二ノ宮金三郎
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