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【改正公益通報者保護法】退職者、役員も保護の対象に
■この記事の内容は、YouTubeでも紹介しています。
内部通報制度のさらなる活用を促進し、早期是正により被害の防止を図るため、改正公益通報者保護法が2022年6月までに施行されることになります。
本改正事項の一つが
■退職から1年以内の労働者を保護対象に追加
です。
現役の労働者に加え、退職から1年以内の労働者(労働者であった者、派遣労働者であった者等)も公益通報を行うことができるようになります。
公益通報の種類は、次のとおりです。
1.内部通報(事業者への通報)
2.外部通報(行政機関)
3.外部通報(マスコミ等)
上記1.の通報は、労働者であった者は旧雇用元へ、派遣労働者であった者は旧派遣先へ行います。
上記のいずれの公益通報であっても、公益通報したことを理由として、雇用元(旧雇用元)や派遣先(旧派遣先)から不利益な取扱いを受けた場合、法律が保護してくれることになります。
「不利益な取扱い」について、法律では「解雇、降格、減給、退職金の不支給その他不利益な取扱い」としています。
ただし、貴社の規定においては、禁止する不利益な取扱いの類型を具体的(例:退職願の提出の強要、不利益な配転・出向・転籍・長期出張等の命令等)に明らかにされることをお勧めします。
また、改正法第7条では、公益通報によって会社が損害を受けた場合であっても、それが適法な公益通報である以上は、公益通報者に対して損害を賠償することができない旨が新設されます。
この点についても、貴社の規定において明らかにされることをお勧めします。
これらの取組みが、不利益な取扱い等を抑止し、貴社の内部通報制度に対する労働者の信頼を高めることにつながります。
さらに、本改正事項の一つが
■役員を保護対象に追加
です。
法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人、法令に基づき法人の経営に従事している者も公益通報を行うことができるようになります。
ただし、役員には会計監査人は含まれず、また、労働者の場合と異なり、「退職した役員」は含まれないことに注意が必要です。
公益通報の種類は、次のとおりです。
1.内部通報(役員に職務を行わせる事業者への通報)
2.外部通報(行政機関)
3.外部通報(マスコミ等)
上記のいずれの公益通報であっても、公益通報したことを理由として、事業者から報酬の減額その他不利益な取扱い(解任を除く)を受けた場合、法律が保護してくれることになります。
また、事業者から解任されたときは、当該事業者に対して、解任によって生じた損害を賠償することができます。
「解任によって生じた損害」とは、例えば、任期の残期間の役員報酬が当たります。
ただし、外部通報(上記2.上記3.)によって法律が保護してくれるケース、また、外部通報(上記2.上記3.)を行うことによって解任されたときに、その損害を賠償することができるケースは、次の2つのいずれかの要件を満たすことが必要です。
1.通報対象事実に気がついた場合、まずは自らが調査是正措置をとることに努めたにもかかわらず、なお当該通報対象事実が生じ、またはまさに生じようとしていると信じるに足りる相当の理由がある場合
「調査是正措置」とは、善管注意義務をもって行う、通報対象事実の調査およびその是正のために必要な措置をいいます。
2.通報対象事実が生じ、またはまさに生じようとしていると信じるに足りる相当の理由があり、かつ、個人の生命もしくは身体に対する危害または個人(事業性個人を除く)の財産に対する損害が発生し、または発生する急迫した危険があると信じるに足りる相当の理由がある場合
■退職から1年以内の労働者を保護対象に追加
■役員を保護対象に追加
以上の改正から、次の点を検討し、貴社の内部通報制度を作り上げていきましょう。
1.内部通報制度の利用対象者を明確にする。
2.禁止する不利益な取扱いの類型を明確にする。
3.公益通報者に対しては、損害を賠償することができない旨を明確にする。
福田秀喜(行政書士福田法務事務所)
【追伸】
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