【行政処分】「登録取消し」、「業務改善命令」発動

4月14日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、投資助言業者を行政処分するよう勧告していました。

この勧告に対し、4月23日、金融庁は、投資助言業者を「登録取消し」および「業務改善命令」という厳しい行政処分を下しました。

今回の事案で問題となったのは、次の行為です。

〇顧客に対し虚偽のことを告げる行為
〇顧客に対し重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為
〇業務を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況

(以下、金融庁公表文書から一部抜粋・加筆)

●事実関係(概要)

〇ホームページに、次の虚偽の内容を掲載
・助言実績に、損失が発生
⇒利益と記載
・実際には助言を行っていない銘柄
⇒助言を行った銘柄であると記載

〇ホームページに、誤解を生ぜしめる内容を掲載
・助言実績とは無関係な、外部の者が提供するAI分析ソフトによる過去の収支等のシミュレーション結果を記載
⇒あたかも自社の助言実績であるかのように記載

〇業務を適確に遂行するための必要な体制が整備されていない状況
・代表取締役は、社内規程上、同人の担当業務とされている顧客管理を含め、当社の業務に一切関与していない。
・取締役は、他の法人(金融商品取引業者等ではない。)の常勤職員として勤務し、当社の業務への関与はわずかな時間にとどまる。
・コンプライアンス室長は、自らが担当する投資顧問契約を締結した顧客への対応を行うだけで、コンプライアンス業務を全く行っていない。

これらの結果、
・契約締結時交付書面や事業報告書の記載不備等の基本的な業務運営に係る動作不備が多数認められる。
・今回検査において日計表や総勘定元帳等の会計帳簿すら提出できていない。
・業務運営に係る社内規程に沿った業務運営態勢が整備されていない。
・社内規程を遵守するための役職員に対する研修等の措置も講じられていない。

(以上、金融庁公表文書から一部抜粋・加筆)

他社の不備事例を参考に、
自社で同様の不備が発生していないか?
同様の不備が発生する要因が存在していないか?

以下について、今一度確認してみましょう。

1.ホームページ等の広告物の確認(虚偽や誤解を生じさせる記載がないか)
2.「業務方法書」と業務実態の整合性の確認
3.「業務に係る人的構成及び組織等の業務執行体制を記載した書面」と業務実態の整合性の確認
4.社内規程と業務実態の整合性の確認
5.属人的なオペレーションがあれば、新たに社内規程を整備

「コンプライアンス」は「業務推進」の足を引っ張るものではありません。

「コンプライアンス」と「業務推進」は車の両輪です。
この両者があいまって、「組織」は、事故なくまっすぐ走ることができます。


福田秀喜(行政書士福田法務事務所)
Facebookでフォローする
メールマガジンでフォローする


いいなと思ったら応援しよう!