「室楽」 「諸島」

「室楽」
薔薇を刻む雨は降りそそぎ
死海の魚と語る午前
石門の犬も消え失せ
残り少ない唄の皿で
寝巻のまま新しい葉巻を愛溺した

「諸島」
三才の天才は眞空の目を閉ぢ
深い悦びを冷たく数へた
微少なロンドも渚に沈み
肩が満月の形をした
その丘状は空ろろなままに自殺した
ミルキイヱイの頂天で
馬のいななきに扇も開き
マリアナ地方の帽子に
僅かな驟雨があつた

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