【朔 #174】まだ西瓜
ウミスズメとは姑獲鳥かなにかかと思っていたら、または雀蜂にも似た精霊信仰かと思っていたら、河豚だった。河豚がレーンを回ってきて、ポン酢を一滴たらしてもらうと口中に運ばれてゆく、平気で。シーツの切れっ端みたいな身に電気を当てたらびくびく跳ねるだろうか。その実、ウミスズメは瓶で飼えそうな河豚であり、星の砂だったかもしれない、電車かもしれない。鹿の喉元を電車の風が過ぎる。その声、骨の軋みだ。紅葉且つ散る谷中が交換可能。まだ西瓜。さんせううを。ください、縄のようなもの、をちこちの山に括り付けて、ください。夢はだらだらと漏れていますが算出中の売上とともに虚栗を安部公房の壁に投げつける月給二千円のバイトだと思えば幾分林檎の重力加速度如何も八月の水上置換法。水晶の他の面が光りつつ、私はいつまで九月なのだろうか。