【朔 #218】予言者
予言者の星の眼の、
中心に瞳を穿ったのが私だ。
トリスタン、明日は霽れる。
室内の波に乗って、根から抜けた草は流れてくる。それは窓を超えて漸く川に接続すると丸太橋を、古代のリズムで踏み鳴らし、真っ黒な斧を担いだ少年が渡った。玩具とは貝の一種だと信じて疑わなかった頃、すなわち、玩ぶ貝が欲しかった頃、平面的な地球儀がワイン瓶の縁を通過し、「やめて!」と叫んだ、叫んだ、私は一対の犬歯であったので、何事もよく裂くことができた……。
躍りたき(はたき落したきはんざきの眼かな/飯島晴子『寒晴』)、
鈴、錫、篠(すず)、
一枚の犬歯になったため、廉価の愛を転売する。