【朔 #33】飲食を「おんじき」と読むやつは余程アオスジアゲハだけれども
蝶なき、
蝶の園。
蝶なき、
蝶の園。そのまま、
涸れてしまえ、……。
満腹が幸福である、と単純に言えなくなったこの頃は魂が腐っている。濁っている。飯蛸が頭を離れず、殆ど空中水族館。夢寐。バラバラと、風船が空に放たれる(水着なんだか下着なんだか平和なんだか/加藤静夫)、死に体の春なんだから、水を一杯いただいてもいいですか。素肌を、恥じて。
皿を舐めている。
なにが、沽券だ。古いカメラみたいな眼が濁っている。あっ、魂も濁っている。フィルムだけ状態良好、視界良好、試験航行、全身装甲、孝行糖、孝行糖。一枚何百グラムかの肉を喰らい、飲食を「おんじき」と読むやつは余程アオスジアゲハだけれども、抱いて、イ抱いて、漫画三冊。溶けきった猫達の叫喚にまで付き合ってられないから、もう、一杯、水をいただいてもいいですか。