【朔 #186】三人の、えっ、これも三椏
大橋敦子『龍の落し子』(角川書店)は平成八年から私の生年たる平成十四年までの句を収めている。そんななか、次の二句が目を引いた。
いかにもな感じだが、いかにもな感じだからこそ実は全身を句に漬けることができる。
北村太郎の端々に思い出の回路が開かれていて、
今朝は夢を見た。
頰と頰が触れる感覚が妙にリアルで驚いた。
というのも、私の夢の中では触覚と嗅覚は全く効かないのが常であったから。
大洪水。
三人の、えっ、これも三椏?
悪夢から垂れてくる葛。その花。
消しゴムを使いすぎたのは吉増剛造だったけれど、
私は鉛筆の使用を推奨されていないので、
消しゴムで書くんだ、書くんだ。