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【朔 #226】太陽の片言は真っ先に私に献上されてしかるべき

 表彰式(詩ではない)に出席するため、初めてJRで奈良に行く。近鉄よりも畑や谷を通過する時間が長く、ほのぼのとした車中。
 思えば、自分の何かしらの作品が正賞を受賞したことってあまりなかった気がする。スポーツもやっていないので、勝敗とか順位とかに左右されずにやってこれたが、批評の目に晒されてこなかったのだとも言える。
 とんでもない人達から「あれは良かった、凄かった」と言われると夢かと思う。そこに有頂天にさせない、冷たい時雨がサッと通る。でも、忙しいので、雨は一旦忘れて、ひとつひとつ仕事をこなす、べく、朱雀門の枯れ草のあたり、高い高い芒の奥の鶏小屋、冬雲雀、冬雲雀、庭、鶏小屋から見えているのは高い高い芒だけだが、太陽の片言は真っ先に私に献上されてしかるべき、「私もかつて鷹で……」、存じております、島々を掌が包み返して加藤郁乎の宇宙風に吹かれて何か季節か図書館の前に立ち愛していますが父の空、空、空……! 秋、過ぎて金魚だ。それでも私は後悔していない。私は後悔していない、舟に乗りつづけて猿声を聴く。

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