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【朔 #11】春蝶という名を初めて見た時、季重なりだな、と思った

 春蝶という名を初めて見た時、季重なりだな、と思った。

 今日(二〇二四年一月十九日)も喜楽館へ。トリの桂春蝶師を追うかたち。桂雀五郎のきびきびとしていながら穏やかな移動(うらら、……桂枝雀を思い浮かべたのは気のせいかしら、雀の、囀りor帰り。「寄合酒」です)、露の吉次の明るい高座の陽、日、火(二度目にして漸く慣れました。光学的エネルギー。「権兵衛狸」です)、月亭方正のテレビジョンの頃の空気が上手く抜けていて巧みな噺の登攀(お弟子さんの柳正「平林」も良かった、……小さい頃から観ていた方正さんが、もう、年季が明ける弟子をお持ちとは──。「猫の茶碗」です)、そして、トリの桂春蝶「紙入れ」。東西交流会の際に観ていたが、何度観ても面白かった。コミカルな表情が繰り出されるのは、三代目(──春團治)の延長、展開も感じる。

 当代桂春蝶師は三代目。二代目が実の父。前の高座名は、春菜。
 絮、司、が春蝶という名を初めて見たのは二代目桂春蝶の紹介文であったが(蝶は春の季語。なんと麗らかな名前なのか、と。早くにお亡くなりになられていることに湖の涯のような残念さ、……)、三代目を継いでいるという当代にも非常に惹かれた。さらに、笑福亭べ瓶のYouTubeチャンネルにてその芸の思いを聴いてからは益々高座が観たいと思っていた。喜楽館でのほぼ一週間のトリ。その半分を通わせていただく。明日も、喜楽館。

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