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【朔 #202】シッダルタ、シッダルタ、シャンデリア・ラプソディー

 いまだに羞じらう柿。
 はっ?
 今日ぢゅうに終わらせたい原稿がある。明日からは郵便料金が上がるから。
 北村太郎、三島由紀夫、中村和弘を同時に読んでいる。バラバラなようで、唐突にカチンと回路が繋がる時があり、それが私の粗末な集中力を支えてくれる。
 ただ、やはりそぞろに、
 大森静佳の歌集が読みたくなってきて、読んでしまう。特に『ヘクタール』(文藝春秋)。大森さんはどこまで行ってしまうのだろうか。びゅんびゅん先を行っている。第一歌集の頃の、語弊を恐れずに言えば、無難な比喩・無難な飛躍から、もっと大胆に・もっとわがままになっていて、私はそっちの方が好きだ。
 九月が終わる。
 九月四日も、もう、遠い。
 三蔵法師は錫杖を衝きつ落としつ、
 今夜は猪鍋です、と、
 猿と河童と猪に言うのかどうか。
 シッダルタ、シッダルタ、シャンデリア・ラプソディー。
 ぼろぼろの巻貝よ、──。
 一天四海に脂ぎった手が犇めいて、それでも真珠は量産可能。月を返してください。

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