俺はとても心が狭い。 昔バカにしてきたやつらが「落ちぶれた」なんて話を耳に挟むと 『ざまあみろ』 ととても嬉しい気分になって一人で高笑いする。 ハッ!ハッ!ハッ! だから群れるなって言っただろ? あんたらが正しいのはその狭いコミュニティーの中だけだ。 何回も教えてやったのに。 てな具合に。 でもな。 不思議なことにこの「ざまあみろ」って気分をとことん味わうと、その気分自体がどこかに消えてしまって 「まあ、どうでもいいや。」 て思うようになる。 バカにされて腹が
やつらはなんでもかんでも「自分達」のものにしたがる。 本来循環するべきものを、せき止めてしまう。 この世界をエネルギーの大きな流れだと見るならば、自分が与えられたものは他人にも与えるべきだ。 それなのにやつらはどうだろう? 与えられたものをなかなか手放そうとはしない。 吸い込むだけ吸い込んで、吐き出そうとはしない。 息を吸うのに、息を吐かないやつがいるのだろうか? 飯を食うのに、糞をしないやつがいるのだろうか? 糞ができないのに、飯を食うやつがいるのだろうか?
「それ」をよく語る奴が、「それ」そのものを知ってるとは限らない。 「それ」そのものを知ってる奴が、「それ」について語るとは限らない。 生まれ持った嗅覚で、「それ」を嗅ぎ分けろ。 「それ」はすべてを育み、 すべてを許し、 すべてを受け入れ、 すべてを見守り、 すべてに浸透している。 「それ」からは逃れられない。 逃げ道なんてない。
「.........。」 目が覚めると沈黙から始まる。 そして今見上げているものが、天井だった事を思いだす。 白い。 天井に向いていた意識が今度は反対側に向く。 この二つの覗き穴。 二つのはずなのに一つの場所から覗いている。 かぼちゃ大のなにかをくりぬいた覗き穴。 頭と目だった事を思いだす。 そして、頭の下には首がついている。 首の下には胴体、胴体には手と足がついている。 ちゃんと動くか確認してみる。 うん、ちゃんと動く。 頭のてっぺんから足のつま先
【DeepDope】Prologue 冬。うんざりするほど寒い。 部屋は家賃3万のワンルーム。派遣の工場工員。車なんてない。30を過ぎても 大切な人 なんて出来た事がない。 大切な人、特別な日、なんたら記念になんたらパーティー。テレビの向こう側でしか見た事がない。 といっても、もう数年間テレビは見ていない。 趣味は特にないし、特技などというものもない。精神安定剤とアルコールがずっと手放せない。 35歳になったら、この苦痛に満ちた人生を終わらせるつもりだった。 そう
それは21の時だった。 俺は半年ほど引きこもっていた。 毎日毎日、死にたいと願っていた。 無論、臆病な俺は、死へ向かう事は出来なかった。 死の方からも、やってきてはくれなかった。 どの方向を向いても壁が立ちはだかっていた。 完全に逃げ道がなくなったと感じた俺は、生きる事も死ぬ事も諦めた。 すると不思議な事に、俺の内面から一つの願いが湧いた。 「本当の事を知りたい。」 それはやがて強い祈りへと変わっていった。 誰に祈っているのか自分でわからなかった。 わけ
大空をはばたく鳥をみては 「あれは偽物だ。幻想だ。あんなに高く飛べるはずがない。」 鳥かごから出ようとしている鳥をみては 「やめておけ。お前にできるはずがない。そんなに簡単じゃない。」 鳥かごの中にいる鳥をみては 「そんな所にいて何が楽しいんだ?お前たちは何も知らない。」 自分は鳥かごの前から一歩も動こうとしない。 羽を広げようともせずに。 鳥かごの中の生活に特に不満はなかった。 決まった時間に餌がでてきて、決まった量だけ食べてればよかった。 ただ、あまり
これ、なんだと思う? どのくらいの距離があると思う? すごくすごく遠いと思う? すごくすごく近いと思う? 僕ですら遠く離れれば大宇宙に広がる星雲と同じ。 僕ですら近づけば砂浜に転がる透明なガラス片と同じ。 いったい、どこに焦点を合わせているんだろう? いったい、どこに焦点をあわせれば正解なんだろう? 正解なんてないものに答えを求めるのは、本当は愚かな事なのかもしれない。 君の目からこっちを見たとき、186センチの無愛想な大男が写ってる。 僕の目から君を見た時
もし君が今、自分の臆病さに苦しんでいるのなら、それはいずれ細やかさへと変わる。 深く潜る。そして高く跳ぶ。 もし君が今、自分の弱さを嘆いているのなら、それはいずれ優しさへと変わる。 深く潜る。そして高く跳ぶ。 もし君の頬を今、涙がつたっているのだとしたら、それはいずれピエロの涙だった事がわかる。 深く潜る。そして高く跳ぶ。 もし君が今、自分を異常なんじゃないかと疑っているのなら、それはいずれ常識の向こう側を垣間見る鍵になる。 深く潜る。そして高く飛ぶ。 もし君
みんな初めまして!キヌやで! 文章書いたり、詩を書いたりするのが好きで今回noteに登録させてもらったで。 早速、2つの作品をあげてみたから是非読んでみてな。 一つ目は「グラウンド・ゼロ」 これはキヌが高校時代の話を少し脚色して書いた作品やで。 悶々とした生活を送っている高校生が、近所の焼き鳥屋でアルバイトをすることによって少しずつ変化していく。というよくある青春話やな。 キヌ的にはオチが秀悦やな! 二つ目は「地球によく似た星の話」 これはキヌが幽体離脱的なものを実際
ある日、俺はとてつもなく疲れて帰ってきた。 飯も食わずに、シャワーだけ浴びてベッドに入った。 そして眠りについた。 数時間して目が覚めた。 体が動かなかった。 「これが俗に言う金縛りか。」 俺はそう思った。 そのまま放っておくと、今度は体が振動し始めた。 体の振動は徐々に大きくなっていった。 そして俺は体から抜けた。 「これが俗に言う幽体離脱か。」 そう思った。 俺は予てから 「幽体離脱が自分の身に起こるようなことがあったら、宇宙空間へと飛び出してみ
思い返すといつも酔っ払ってた。 常に不安でいっぱいだった。 いつも消えてしまいたい衝動に駆られてた。 死にたいって感じではなかった。 最初から居なかったかのように、存在ごと消してしまいたかった。 自分とは何かがさっぱりわからなかった。 唯一の救いがアルコールだった。 高校生活にウンザリしてた。 意味があるようには思えなかった。 とにかく抜け出したかった。 何かが変わると思いバンドを組んだ 俺はギターを弾いた。 ドラムの奴の家の納屋に、放課後集まった。 そこで