夢のおわり

遠ざかっていくあの人が完全に見えなくなってしまうと
夢みたいな一日が終わったのだと実感する

電車に乗って最寄り駅に着いてしまうと
とたんに魔法が解けて私はただの灰かぶりの少女に戻ってしまう

それでもその夢が確かに現実だったのだと思わせるのは
ガラスの靴ではなくてあの人にサインしてもらった本

私の手に残ったたったひとつの夢の証を胸に
私は今日も眠りにつくのだろう

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