基幹システムエンジニアは会計を勉強した方がいい

基幹システムっていうのは企業の基幹業務を扱うシステムのことを指します。じゃあ基幹業務とは何かというと、企業収益に関わる根幹となる業務のことです。そのシステム範囲ってどこかという議論になったとき、同じエンジニア内でも意見が分かれました。それを聞いて私はけっこう驚きました。私はずっと金融系(クレジット、生保)の基幹システムを担当してきて、その業界内の色々なお客様のシステムを扱ってきましたが、どの会社でも基幹システムの範囲は同じだったからです。意見が分かれたのは、非金融系(製造業など)の基幹システムに携わってこられた方々でした。なるほど、金融系は手運用が難しいことも多く、業務におけるシステムのカバーする範囲が広いし、業務内容も金融庁の定めなどがあることからそこまで会社ごとに大きく変わらないし、システムがトップダウンで作られています。それに対して製造業は手運用も可能でありシステムは極端に言うとあれば便利なものという位置づけです。各工場ごとでの実運用をベースにボトムアップの業務改善でできあがったシステムであることから、会社によってシステムの範囲が大きく異なり、その結果基幹システムの定義も大きく変わってしまうのだということが分かり、大変興味深かったです。そのことからも、基幹システムについて考えるためには、企業の基幹業務について、システム化されているかどうかを置いていてまずは全体像を理解してみないといけないということが言えると思います。

じゃあ基幹業務を理解するにはどうするか。お客様の収益構造を理解しないといけないと思います。つまり会計です。

私は生保の基幹システムに初めて携わった時、担当は会計システム(基幹システムで発生する日次仕訳を行うシステム)でした。そのシステムを担当した時、最初はだいぶ分からないことが多くてつらかったです。主業務(新契約、初回入金、保全、支払、収納(次回入金)、満期、特別勘定財務など)の各担当の方にそれぞれどんなお金が発生するかを聞いてまわらないといけなかったからです。ただ、会計を理解できた時、私は生保で発生するお金の流れを最初から最後まで理解することができたし、それによって基幹システムの全体像を把握することができました。私は会計の後、最も難しいとされる保全の担当になりましたし、その後も新契約や支払を担当し、基幹システムの再構築の企画にも携わることができました。

また、管理会計の再構築という案件もありました。管理会計とは法的に定められ形式の決まっている報告書類である財務会計と異なり、企業内での内部管理を行い経営上の意思決定を行うためのものです。つまり管理会計とは企業そのものだと思います。管理会計を再構築することにより、基幹システムでも会計システムにどういう情報を渡せばいいかが変わってきます。つまり基幹システムの構造は会計に大きく左右されるのです。

クレジットカードの次世代システム構築の案件を担当した際に最もやっかいだったのは会計でした。新システムと旧システムの仕様が異なる中で、会計上の計算を合わせるのがかなり大変だったからです。特に債権の管理方法が新旧で異なっていたので、端境期についての計算を合わせる必要がありました。旧システムのデータを移行するのにも会計上の考慮がかなり必要になりました。

基幹システム全体にかかわる大きなことを考えるには、常に会計のことを考えることが必要であり、その会社の会計処理について理解することが必要であると言えます。

エンジニアが会計について勉強するための入門について、次回書いてみようと思います。

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