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埼玉プレーナー工業所がおもしろい!

プレーナー加工の歴史

金属加工の世界は奥深く、様々な加工技術が存在しますが『プレーナー加工』が持つ奥深さや技術はまた違った魅力がありますね。
そんなプレーナー加工機の歴史を調べてみたら19世紀の産業革命まで遡りました。
1828年にアメリカでウィリアム・ウッドワースがプレーナーと呼ばれる機械を発明し、木材の加工効率が飛躍的に向上したそうです。この発明による木材の供給増加は、産業革命の時期における重要な技術革新と見なされているそうです。
その発明と金属を削る工作機械の発明がつなぎ合わさって、金属のプレーナー加工機が作られてきたと思うと歴史のバトンを感じますね。

丸福鉄工 門型プレーナー

そして、もうひとつの歴史のバトンは埼玉プレーナー工業所へ

埼玉プレーナー工業所が拠点を構える埼玉県川口市は、室町時代初期から続く鋳物の街として知られており、荒川から良質な砂と粘土が採掘できたことが、この地で鋳物文化が発展した要因になります。
そして、その伝統を受け継ぎながら、埼玉プレーナー工業所は高精度な「プレーナー加工」を通じて、60年以上に渡り日本のモノづくりを支え続けています。
日本の鋳物文化のバトンと、プレーナー加工技術の歴史のバトン。
その双方を受け継いで、日本の製造業の歴史に貢献してきたものづくり企業になります。

埼玉プレーナー工業所

鈴木社長の印象をひと言でいうと情熱的のひと言に尽きると思います。
今回工場へお邪魔させていただいた際も丁寧かつ情熱的に、会社のこと、プレーナー加工のこと、そして未来のことを語られていて、そのお話にぐんぐん惹き込まれていきました。
その情熱は従業員さんにも伝播していて、とにかく仕事に対する雰囲気が良いです。
6月に行われた展示会『ものづくりワールド』のブースに伺ったのが最初になりますが、皆さんお揃いのオレンジ色のTシャツを着て、それはそれは丁寧にご説明していただきました。
何でもはじめて展示会に出展したそうで、その一致団結する姿から「この会社さんが作る製品はきっと素晴らしいに違いない」と直感的に思えました。
ブースでプレーナー加工についてお話を伺う際に鈴木社長は「プレーナー加工については、うちのプレーナー加工職人に訊いて下さい!うちのプレーナー加工の職人は本当に腕が良いですよ!」と言って中里さん(ぜひ前回の記事をご覧ください)を紹介していたのが印象的です。
中里さんは30代半ばになるのですが、その若さに対して「腕が良い!」というのシビれませんか。
このエピソードで同社がどういう会社か伝わりますよね。

ブースから熱意とチームワークが伝わってきます

情熱的な鈴木社長。
「先代の社長(現社長の父)とは経営のことでよく大喧嘩しましたよ。殴り合いになったこともありました。あははは」と熱を帯びて笑う姿を見てたら「この方が経営する工場見てたいな」って思いませんか。
そしたら「今度うちの工場に遊びに来て下さい。ぜひプレーナー加工を観て下さい」と言われたので、やった!とばかりに今回お邪魔したのが経緯になります。

門型マシニングセンター オークマ MCV AⅡ

最新のテクノロジーとの調和

3代目として昨年から本格的に経営の舵取りを担う鈴木社長は、「自社を知ってもらう」ことの重要性を掲げ、ホームページのSEO対策、SNS活用、展示会出展など、多方面にわたる広報活動を展開し、着実に認知度を高めています。

鈴木社長の改革は社内改革、特に《見える化》についてはさらに数度熱が上がりました。
管理ソフト(セールスフォース)を導入して受注の進捗管理、見積りの打率(受注率)や売り上げ、利益率などそれらを細かく顧客ごとに管理し、分析することで新たに判断材料を知り、その積み重ねで判断基準が生まれる。
そのサイクルが生み出す《見える化》の効果はかなり大きかったそうで、鈴木社長はこう言います。

「以前は受注の《見える化》ができていなかったため、利益率が低下しても気づかず、時には赤字に陥ることもありました。それが『なんとなく』ではなく、データとして可視化されたことで、工程や取引内容を見直す決断ができたのです」

長年の工法の見直しや、工程の見直しは容易ではありません。しかし、過去の慣習に囚われず、データに基づいて客観的に判断する― ―これは多くの製造業にとって重要な課題であり、埼玉プレーナー工業所の取り組みはまさにその好例と言えると思います。感覚的な判断から脱却し、データに基づいた「判断材料」と「判断基準」を獲得することで、より精度の高い意思決定が可能になる。

実際、同社は前期に過去最高益を達成。この成功は、最新テクノロジーを積極的に活用した経営戦略の成果と言えます。鈴木社長の情熱とデータに基づいた冷静な判断が、埼玉プレーナー工業所の未来を切り拓いていますね。

社員との共通意識

この《見える化》はさらに社員との共通意識を高める効果も大きかったといいます。
鈴木社長は、「会議室に設置したモニターで、社員全員がいつでも管理ソフトのデータを見られるようにしています。会社の仕入れコストや売上はもちろん、顧客ごとの見積依頼数や受注状況なども過去に遡って確認できるため、会社の現状が一目で把握できるのです」と語る。
会社の売上や受注率といった経営状況を、社員一人ひとりが把握できることで生まれる共通認識。展示会で見られたチームワークの良さも、こうした鈴木社長の取り組みの賜物と言えます。

鈴木社長が退室されたあと、総務担当の方と広報担当の方のお二人が「キンタンさんに訊きたいことがあります」と云ってきました。
「キンタンさん、Webサイトに展示会情報を掲載したり、ブースレポートをSNSなどで発信してますよね。何か弊社に合うような展示会はありませんか?」と質問を受けました。
皆で会社のことを真剣に考えていることが伝わってきて胸が熱くなりました。

埼玉プレーナー工業所の今後の動向に、ますます目が離せませんね!
プレーナー加工のニーズをお持ちの企業は、ぜひ同社に相談してみては。

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Instagram


《参考資料》
Wikipedia|William Woodworth (inventor)
・Shaker Museum | Mount Lebanon
・フルタニランバー
・川口の鋳物産業の歴史と鋳造技術
・川口の鋳物の鉄鍋を江戸市民は使っていた|クリナップ
川口鋳物が近代化を背景に日本一になるまで~江戸の需要で成長~|まっぷるトラベルガイド
有限会社埼玉プレーナー工業所 「プレーナー加工技術」~曲がり・反り・歪みを格段に少なく


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